ポケモンの技名を見ていると、日本語名と英語名で少し違いがあるものがある。
たとえば、アクアジェットは英語でも Aqua Jet である。
アクアリングも、英語では Aqua Ring である。
このように、「アクア」がつく技は、英語でもそのまま aqua が使われることが多い。
ところが、アクアブレイクは英語名になると Liquidation になる。
アクアブレイクなのに、英語では Aqua Break ではなく Liquidation になる。
直訳するなら、Aqua Break でもよさそうに見える。
では、なぜわざわざ Liquidation という英語名になっているのだろうか。
ここには、英単語の意味と、技名としてのかっこよさの両方が関わっているように思う。
aqua は「水」を連想させる言葉
まず、aqua は水を連想させる言葉である。
日本語でも、アクアリウム、アクアパーク、アクアスポーツのように使われる。
英語でも aqua は、水や水色を表す言葉として使われる。
だから、Aqua Jet や Aqua Ring はかなりわかりやすい。
- Aqua Jet:水のジェット噴射
- Aqua Ring:水の輪
どちらも、名前を見ただけで技のイメージがしやすい。
では、Aqua Break はどうだろうか。
もちろん、意味は通じる。
「水で壊す」「水の力で突破する」というイメージは伝わる。
ただ、英語の技名として見ると、少しだけ単純でもある。
そこで英語版では、よりひねりのある Liquidation という名前が選ばれたのだと思う。
Liquidation の中には liquid がある
Liquidation という単語を見ると、中に liquid が入っている。
liquid は「液体」という意味である。
liquid = 液体
水も液体である。
つまり、英語名では aqua という言葉は消えているが、代わりに liquid によって水っぽさ、液体らしさが残されている。
ここがまず面白い。
Aqua というわかりやすい言葉を使わずに、liquid という少し広い言葉で水タイプらしさを出しているのである。
liquidate には「清算する」「始末する」という意味がある
さらに面白いのは、Liquidation がただの「液体っぽい言葉」ではないことである。
Liquidation は、もともと liquidate という動詞と関係している。
liquidate には、いくつかの意味がある。
- 資産を現金化する
- 会社などを清算する
- 処分する
- 始末する
ビジネスの文脈では「会社を清算する」「資産を現金化する」という意味で使われる。
一方で、少し物騒な言い方をすれば、「相手を排除する」「始末する」というニュアンスでも使われることがある。
Liquidation には、liquid「液体」と、liquidate「始末する・処理する」のイメージが重なっている。
つまり、ポケモンの技名としての Liquidation は、ただ「液体の技」というだけではない。
液体の力で相手をたたき壊す、処理する、片づける。
そういう攻撃的なニュアンスまで含んでいる。
日本語名はストレート、英語名はひねりがある
日本語名のアクアブレイクは、かなりストレートな名前である。
- アクア = 水
- ブレイク = 壊す、砕く
つまり、「水で壊す」技である。
とてもわかりやすい。
一方で、英語名の Liquidation は、もう少しひねっている。
aqua という直接的な言葉を使わず、liquid で水っぽさを残しつつ、liquidate の「清算する」「処理する」「始末する」という意味まで利用している。
そのため、Liquidation という英語名には、単なる水技以上の攻撃性がある。
アクアブレイクは「水で砕く」。Liquidation は「液体の力で相手を処理する」。
日本語名は素直でわかりやすい。
英語名は、単語の意味を利用した、少し大人っぽい名前になっている。
なぜ Aqua Break ではなかったのか
では、なぜそのまま Aqua Break ではなかったのか。
おそらく、Aqua Break でも意味は通じる。
しかし、英語の技名として見ると、少しだけ弱い。
Aqua Jet や Aqua Ring は、名前から動きや形がはっきり見える。
Jet なら噴射、Ring なら輪である。
それに比べると、Break は少し抽象的で、「何をどう壊すのか」がややぼんやりする。
そこで Liquidation にすることで、
- 水っぽさ
- 攻撃の強さ
- 相手を処理する感じ
- 英単語としての言葉遊び
を一つの単語にまとめたのだと思う。
直訳するのではなく、英語としてより面白く、技の雰囲気が出る名前を選んだのだろう。
ここで学べる英語
今回の技名からは、いくつかの英単語を学ぶことができる。
まずは liquid である。
Water is a liquid.
水は液体です。
liquid は「液体」という意味で、中学英語の基本単語というよりは、少し説明的な場面で出てくる単語である。
次に liquidate である。
こちらは日常会話で頻繁に使う単語ではないが、ニュースやビジネスの文脈では出てくることがある。
liquidate = 清算する、処分する、始末する
会社を清算する、資産を現金化する、不要なものを処分する。
そうした場面で使われる単語である。
ポケモンの技名 Liquidation は、この少し硬い単語を、技名としてうまく使っている。
ポケモンの技名は、ただの直訳ではない
アクアブレイクをそのまま訳せば、Aqua Break になりそうである。
しかし、英語版では Liquidation になっている。
これは、単に日本語を英語に置き換えたのではなく、英語としての語感や、技のイメージまで考えた翻訳だと言える。
翻訳では、いつも直訳が一番よいとは限らない。
むしろ、直訳すると意味は通じても、面白さやかっこよさが弱くなることがある。
その場合には、別の言葉を選ぶことで、元のイメージを別の形で表現することがある。
Liquidation は、アクアブレイクを直訳した名前ではない。けれど、水の技らしさと攻撃の激しさを、英語の単語の中でうまく表している。
まとめ
アクアブレイクは、英語では Liquidation と訳されている。
一見すると、「アクア」が消えてしまったように見える。
しかし、Liquidation の中には liquid、つまり「液体」のイメージが入っている。
さらに、liquidate には「清算する」「処分する」「始末する」という意味もある。
そのため、Liquidation という英語名は、
- 水の技であること
- 相手をたたき壊す攻撃であること
- 英単語として少しひねりがあること
を一つの単語で表している。
日本語名のアクアブレイクは、ストレートでわかりやすい名前。
英語名の Liquidation は、英単語の意味を利用した、少しひねりのある名前。
ポケモンの技名を比べてみると、単語の意味や翻訳の工夫が見えてくる。
こういうところから英語を学んでみるのも、意外と面白い。