ポケモンには、一撃必殺技というものがある。
命中率は30%。しかし、当たれば相手を一撃で倒せる。強い。いや、強すぎる。
ただ、30%と聞くと、多くの人はこう思うかもしれない。
どうせ30%なんだから、そんなに当たらないんでしょ。
ところが、ここが確率のおもしろいところである。
実は、2回打てば一撃で倒せる確率は50%を超える。
「1回以上当たる確率」は、逆から考えると見やすい
こういう確率は、正面から「1回以上当たる確率」を計算しようとすると、少し考えづらい。
なので、逆から考える。
命中率が30%ということは、外れる確率は70%、つまり 0.7 である。
2回技を打って、2回とも外す確率は、
0.7 × 0.7 = 0.49
となる。
つまり、「2回とも当たらない確率」は 0.49 である。
ということは、その反対である「1回以上当たる確率」は、
1 - 0.49 = 0.51
である。
つまり、2回打てば約51%の確率で相手を倒せることになる。
30%と聞くと低そうに感じるのに、2回で半分を超える。ここが、単発の数字だけ見ていると気づきにくいところである。
試行回数が増えると、確率の見え方は変わる
この話のポイントは、1回ごとの成功率そのものよりも、 試行回数を稼げるかどうか にある。
一回の30%はたしかに不安定である。だが、二回、三回と打てるなら話は変わる。
たとえば三回なら、全部外す確率は
0.7 × 0.7 × 0.7 = 0.343
だから、一回以上当たる確率は
1 - 0.343 = 0.657
となる。約66%である。だいぶ見え方が変わってくる。
こうなると、「30%しかない」ではなく、「何回試せるか」が重要になってくる。
だから耐久ポケモンと一撃必殺技は相性がいい
そう考えると、自然にこういう発想になる。
耐久ポケモンに一撃必殺技を覚えさせて、試行回数を稼げば強いのでは?
実際、そういう発想から理不尽な強さを見せるポケモンはいる。
たとえばヘイラッシャである。
もともと耐久種族としてかなり優秀なのに、特性「てんねん」で積みアタッカーにも強く、さらに「じわれ」で試行回数まで稼げる。
一撃必殺技がなくても十分強いのに、それを持たせることで、確率の押しつけまでしてくる。かなり理不尽である。
こういうポケモンを見ると、一回ごとの30%だけを見ても意味がないことがよくわかる。問題は、その30%を何回押しつけられるかなのである。
数字だけ見るのと、状況の中で見るのとでは違う
確率の話では、数字だけを見て判断すると感覚を外しやすい。
30%という数字だけを見ると、かなり低く思える。だが、
- 何回試せるのか
- 失敗しても次があるのか
- 相手がその試行を許してしまうのか
まで含めて考えると、同じ30%でも意味が変わってくる。
ゲームの中で確率が怖いのは、単発の数字そのものより、状況の中でその数字がどう機能するかにある。
ポケモンは、意外と確率のゲームでもある
命中率、追加効果、急所、状態異常。ポケモンにはいろいろな場面で確率が入り込んでいる。
そのせいで理不尽に感じることもあるし、逆にそこが面白さにもなっている。
私はこういう話を見るたびに、「ゲームって意外と数学と近いな」と思う。
もちろん、教科書の確率の問題とまったく同じではない。けれど、「どう考えると見通しがよくなるか」という発想はかなり共通している。
一撃必殺技の30%も、そのまま見ると雑に感じるが、「一回も当たらない確率」から考えると急に輪郭がはっきりする。
そういう見方を知るだけでも、ポケモンは少し違って見えてくる。