塾長ノート

ハイパーボールはなぜ Ultra Ball なのか

日本語のランク名と英語版のローカライズから見る、ボール名のずれ

ポケモンの道具名には、日本語名と英語名で少しずれがあるものがある。

その中でも、かなり有名で、しかも考えてみると面白いのが ハイパーボールである。

日本語では「ハイパーボール」。

ところが、英語名は Ultra Ball である。

日本語ではハイパー、英語ではウルトラ。 では、なぜ Hyper Ball ではないのか。

今回は、ポケモンのボール名から、英語版ローカライズの面白さを考えてみる。

日本語版のボール名

まず、日本語版の基本的なボール名を並べてみる。

  • モンスターボール
  • スーパーボール
  • ハイパーボール
  • マスターボール

この並びを見ると、日本語では外来語を使ったランク感がかなりはっきりしている。

普通のボールがあり、その上にスーパーがあり、さらにその上にハイパーがあり、最後にマスターがある。

日本語としては、このランクの上がり方はかなり自然である。

「スーパー」も「ハイパー」も、日本語の中ではすでに強さや上位感を表す外来語として使われている。

だから、スーパーボールの上にハイパーボールがある、という感覚はわかりやすい。

英語版では Great Ball / Ultra Ball

一方、英語版では名前が少し違う。

  • Poké Ball
  • Great Ball
  • Ultra Ball
  • Master Ball

日本語の「スーパーボール」は、英語では Great Ball

日本語の「ハイパーボール」は、英語では Ultra Ball

つまり、日本語名をそのまま英語に直しているわけではない。

もし直訳に近づけるなら、

  • Super Ball
  • Hyper Ball

のようになりそうである。

しかし、実際にはそうなっていない。

英語版では、日本語の外来語ランクをそのまま移すのではなく、英語として自然なランク名に組み直している。

なぜ Hyper Ball ではないのか

では、なぜ Hyper Ball ではなく Ultra Ball なのか。

ここについて、公式に翻訳意図が細かく説明されているわけではない。

そのため、断定はできない。

ただ、英語としての語感を考えると、Ultra Ball の方がランク名としてかなり自然に見える。

ultra は、「超」「非常に」「さらに上の」といった感覚を持つ語である。

商品名やランク名でも、ultra は「かなり上位」という印象を出しやすい。

一方で、hyper はもちろん「超える」「過度の」といった意味を持つ語ではある。

しかし英語では、hyper は「過剰に興奮した」「落ち着きがない」「過活動の」のようなニュアンスで使われることもある。

もちろん Hyper Ball という名前が英語として不可能なわけではない。

ただ、捕獲性能が高い道具名として見るなら、 Ultra Ball の方が、強さ・上位感・商品名としてのわかりやすさを出しやすかったのではないかと思う。

デザインには H が残っている

ここでさらに面白いのが、ハイパーボールのデザインである。

英語名は Ultra Ball なのに、ボールの上部には H のような模様がある。

これは、日本語名である Hyper Ball に由来すると説明されている。

つまり、英語版の名前は Ultra Ball になっているが、デザインには日本語名の Hyper の名残が残っているわけである。

名前は Ultra Ball、見た目には Hyper の H。

ここがとても面白い。

ローカライズによって名前は変わっている。 しかし、デザインの中にはもとの日本語名の情報が残っている。

こういうところを見ると、翻訳は単に言葉だけの問題ではないことがわかる。

後から登場した「ウルトラボール」問題

さらにややこしいのは、後のシリーズで日本語名 ウルトラボール という別のボールが登場したことである。

日本語のウルトラボールは、ウルトラビーストに関係する特別なボールである。

ところが、英語版ではすでに Ultra Ball という名前がハイパーボールに使われている。

そのため、日本語のウルトラボールは、英語版では Beast Ball になっている。

ここにも、ローカライズの面白さがある。

英語版で Ultra Ball をもう使ってしまっている以上、 日本語の「ウルトラボール」をそのまま Ultra Ball とは訳せない。

そこで、ウルトラビーストに対応するボールであることを前面に出して、 Beast Ball という名前にしたと考えられる。

ある時点での翻訳は、後のシリーズ展開にも影響する。

これはかなり重要な視点である。

直訳ではなく、体系を作る翻訳

ポケモンのボール名は、一つひとつの単語だけで見ても面白い。

しかし、それ以上に大事なのは、名前の体系である。

日本語版では、

  • モンスター
  • スーパー
  • ハイパー
  • マスター

という外来語のランク感で並んでいる。

一方、英語版では、

  • Poké
  • Great
  • Ultra
  • Master

という英語として自然なランク感に置き換えられている。

つまり、翻訳者は「ハイパー」をただ Hyper に置き換えたわけではない。

英語版のプレイヤーにとって自然に感じられる名前の階段を作ったのである。

翻訳とは、単語を置き換えるだけでなく、名前の体系を作り直す作業でもある。

ここにローカライズの工夫がある。

英語学習として見ると

この話は、英語学習としても面白い。

日本語では、カタカナ語として「スーパー」「ハイパー」「ウルトラ」を使う。

しかし、英語ではそれぞれの語が持つ印象や使われ方が少し違う。

日本語で「ハイパー」と聞くと、単純に「スーパーより上」という感覚で受け取りやすい。

しかし英語の hyper には、文脈によって「過剰」「興奮しすぎ」のような響きも出る。

一方で ultra は、ランク名や商品名として「さらに上」を出しやすい。

だから、日本語のカタカナ語と英語の語感は、完全には一致しない。

ここが英語学習ではとても大事である。

カタカナ語として知っている単語でも、英語での印象まで同じとは限らない。

ハイパーボールと Ultra Ball の違いは、そのことを考えるよい例になる。

まとめ

日本語のハイパーボールは、英語版では Ultra Ball である。

これは、日本語名をそのまま Hyper Ball と訳したものではない。

英語版では、Poké Ball、Great Ball、Ultra Ball、Master Ball という形で、 英語として自然なランク名に組み直されている。

一方で、デザインには日本語名 Hyper Ball に由来する H のような模様が残っている。

さらに、後に日本語のウルトラボールが登場したときには、 英語版ではすでに Ultra Ball が使われていたため、 Beast Ball という名前になった。

こうして見ると、ポケモンの道具名はただの名前ではない。

翻訳、語感、シリーズ全体の整合性が絡み合っている。

ハイパーボールが Ultra Ball になっていることは、 直訳ではないローカライズの面白さを考える入口になるのである。

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