英単語の中には、分解してみると意味が見えてくるものがある。
その代表例の一つが、breakfast である。
breakfast は、現在では「朝食」という意味で覚える単語である。
しかし、もともとの形を見てみると、 break と fast に分けて考えることができる。
breakfast は、もともと「断食を破る」という発想から生まれた言葉である。
ここが今回の出発点である。
break は「破る」、fast は「断食」
まず、break は「壊す」「破る」という意味を持つ動詞である。
そして、ここでの fast は「速い」という意味ではない。
断食、つまり一定時間食べないことを表す名詞である。
したがって、break fast は直訳すれば「断食を破る」という意味になる。
夜寝ている間、人は長い時間食事をしていない。
朝起きて最初に食べる食事は、その長い空腹の時間を終わらせる食事である。
だから、朝食は breakfast なのである。
これは単なる語呂合わせではない。 英語の breakfast は、実際に「断食を終える」という表現から生まれた言葉である。
fast は「速い」だけではない
ここで生徒が混乱しやすいのが、fast である。
多くの人は fast と聞くと、まず「速い」を思い浮かべる。
- a fast car:速い車
- run fast:速く走る
- fast food:すぐに食べられる食べ物
しかし、fast にはもう一つ、断食するという意味がある。
- fast:断食する
- fasting:断食
- break a fast:断食を終える
breakfast を理解するときには、この「断食」の fast を知っていることが大切である。
同じつづりでも、意味が一つとは限らない。
こういうところに、英単語の面白さと難しさがある。
では lunch は何なのか
では、lunch はどうだろうか。
breakfast のように、単語を分解すれば意味が見える語なのだろうか。
実は、lunch の語源は breakfast ほどわかりやすくない。
lunch は、一般に luncheon の短縮形と説明されることが多い。
しかし、その luncheon 自体の由来には不確かな部分もある。
つまり、lunch は breakfast のように、
この単語とこの単語を足せば意味が見える
というタイプの単語ではない。
ここはかなり大事である。
英単語は、何でも無理に分解すればよいわけではない。
breakfast のように分解が役に立つ単語もあれば、 lunch のように歴史をたどってもはっきりしない部分が残る単語もある。
dinner はもともと「夕食」ではなかった
次に、dinner を見てみる。
現代英語では、dinner は多くの場合「夕食」として覚える。
しかし、語源をたどると、もともとは今の「夕食」とは少し違う位置づけだった。
dinner は、古フランス語の disner に由来するとされる。
もとは「一日の最初の大きな食事」を表していた語で、 さらにさかのぼると「断食を破る」という意味と関係している。
ここが面白い。
breakfast だけでなく、dinner もまた、 歴史的には「断食を終えて食べる食事」と関係していたのである。
ただし、現在の dinner は、単に「朝食」という意味ではない。
歴史の中で、「一日の主要な食事」という意味合いを持ち、 そこから多くの場合「夕食」として使われるようになっている。
dinner は、もともと時間帯よりも「一日の中心になる食事」という感覚が強かった語である。
食事の名前は、時代によって動く
現代の感覚では、食事名はかなり固定されているように見える。
- breakfast:朝食
- lunch:昼食
- dinner:夕食
学校英語でも、このように覚えることが多い。
もちろん、現代英語を学ぶ上ではそれでよい。
ただ、語源をたどると、食事名は単に時計の時間だけで決まっていたわけではないことが見えてくる。
dinner は、歴史的には「夕方の食事」そのものではなく、 一日の中で中心になる大きな食事を指していた。
だから、地域や家庭によっては、今でも dinner が昼の主要な食事を指すことがある。
食事の名前は、時間だけではなく、生活習慣や食事の重さとも関係しているのである。
breakfast と dinner は少し似ている
こうして見ると、breakfast と dinner には少し似たところがある。
breakfast は、英語の形そのものが break + fast である。
つまり、「断食を破る食事」という発想がかなりはっきり見える。
一方、dinner は、現代英語の形からはその発想が見えにくい。
しかし、語源をたどると、こちらも「断食を破る」という考え方と関係している。
表面上はまったく違う単語に見えるが、奥にある発想は意外と近い。
breakfast は見た目から意味が見える語、dinner は歴史をたどると意味が見える語である。
ここに、語源を調べる面白さがある。
単語の分解が役に立つとき、立たないとき
breakfast は、単語を分解することで意味がかなり見えやすくなる。
break + fast と考えれば、「断食を破る食事」という発想が見えてくる。
一方で、lunch のように、語源がはっきりしない単語もある。
こういう語を無理に分解しても、かえって間違った理解につながることがある。
そして dinner のように、語源的には「断食を破る」と関係していても、 現代の意味が歴史の中で変化している単語もある。
英単語を学ぶときには、 分解すればわかる単語と、 歴史をたどらないと見えにくい単語を分けて考えることが大切である。
英語学習として見ると
breakfast, lunch, dinner は、どれも中学英語でも出てくる基本単語である。
だから、意味だけならすぐに覚えられる。
しかし、語源を見ていくと、そこには生活の感覚や歴史が残っている。
朝食は、ただ「朝に食べるもの」ではなく、 長い空腹の時間を終える食事としてとらえられている。
昼食を表す lunch は、語源的には少し不確かである。
夕食として覚える dinner は、もともとは一日の中心になる食事と関係していた。
こうして見ると、簡単な単語ほど、実は奥が深い。
英単語は、日本語訳だけを覚えて終わりにするにはもったいないのである。
まとめ
breakfast は、break と fast に分けて考えることができる。
fast はここでは「速い」ではなく「断食」である。
そのため breakfast は、「夜のあいだの断食を破る食事」という発想から生まれた言葉である。
一方、lunch は luncheon の短縮形とされるが、その由来には不確かな部分がある。
そして dinner は、現代では「夕食」として覚えることが多いが、 歴史的には「断食を破る」「一日の最初の大きな食事」と関係する語だった。
breakfast, lunch, dinner は、どれも毎日のように使う基本語である。
しかし、その背景をたどると、英語の中に残る生活文化や意味の変化が見えてくる。
こういう単語を一つずつ見ていくと、英語はかなり面白くなる。