「〜に違いない」と「〜に決まっている」は、どちらも強い確信を表す表現です。
たとえば、次の二つを見てみます。
あれだけ努力したのだから、合格するに違いない。
あれだけ努力したのだから、合格するに決まっている。
どちらも自然です。
どちらも、「合格する可能性が高い」と強く思っている表現です。
ただし、完全に同じかというと、そうではありません。
「に違いない」の方は、努力量という根拠を見て、そこから冷静に判断している感じがあります。
一方で、「に決まっている」の方は、話し手の確信がかなり強く出ます。 場合によっては、「そうであってほしい」「当然そうだ」という感情も混ざります。
ここに、二つの表現の違いが見えてきます。
「に違いない」は、根拠から判断している感じがある
まず、「に違いない」から考えてみます。
空が真っ暗だ。もうすぐ雨が降るに違いない。
これは自然です。
「空が真っ暗だ」という、目に見える根拠があります。 その根拠をもとにして、「もうすぐ雨が降るだろう」と判断しています。
つまり、「に違いない」は、何かを見たり聞いたりしたうえで、
この状況なら、きっとそうだろう。
と考えるときに使いやすい表現です。
かなり確信は強いのですが、ただの思い込みではありません。 そこには、何らかの根拠があります。
「に決まっている」は、強く言い切る感じがある
一方で、次の文はどうでしょうか。
空が真っ暗だ。もうすぐ雨が降るに決まっている。
これも、会話として言えないわけではありません。
ただ、「に違いない」と比べると、少し雑に断定している感じが出ます。
空が真っ暗なら雨が降りそうだ、という推論はかなり自然です。 だからこそ、本来は「に違いない」と相性がいい。
それに対して「に決まっている」は、
そんなの考えるまでもなく、そうだ。
という感じが強くなります。
そのため、根拠をもとに丁寧に判断しているというより、話し手が強く言い切っている印象になります。
ここが大きな違いです。
返信が遅いとき、「忙しいに違いない」と「忙しいに決まっている」は違う
もう少し人間関係に近い例で見てみます。
彼は返信が遅い。きっと忙しいに違いない。
彼は返信が遅い。きっと忙しいに決まっている。
この二つも、どちらも文としては作れます。
しかし、受ける印象はかなり違います。
まず、
彼は返信が遅い。きっと忙しいに違いない。
は、比較的冷静です。
返信が遅いという事実がある。 そこから、「忙しいのだろう」と分析している感じです。
一方で、
彼は返信が遅い。きっと忙しいに決まっている。
は、少し違います。
こちらは、ただ冷静に分析しているというより、自分に都合のいい解釈を選び取っているようにも聞こえます。
返信が遅い。
でも、嫌われたわけではない。
忙しいに決まっている。
という感じです。
もちろん、本当に忙しい可能性もあります。 ただ、「に決まっている」と言うと、話し手の願望や思い込みが少し見えやすくなります。
「に違いない」は、根拠から判断している。 「に決まっている」は、強くそう思い込んでいる。
この違いが、この例ではかなり出ています。
「に決まっている」は、相手に強く働きかけることもある
ただし、「に決まっている」が悪い表現というわけではありません。
会話では、むしろ「に決まっている」の方が自然に使われる場面もあります。
たとえば、次の文です。
そんな言い方をしたら、相手は傷つくに違いない。
そんな言い方をしたら、相手は傷つくに決まっている。
この場合、どちらも自然です。
ただし、かなり印象が違います。
まず、
そんな言い方をしたら、相手は傷つくに違いない。
は、やや客観的です。
「その言い方をされたら、相手は傷つくだろう」と、少し距離を置いて分析している感じがあります。
一方で、
そんな言い方をしたら、相手は傷つくに決まっている。
は、もっと相手に働きかけています。
たとえば、友だちに対して、
そんな言い方したら、傷つくに決まってるでしょ。
ちゃんと考えなよ。
と言うような場面です。
ここでは、「に決まっている」に、話し手の感情や非難、注意する気持ちがかなり出ています。
つまり、「に決まっている」は、ただの判断ではなく、相手を諭したり、強く言い切ったりするときにも使われます。
「に違いない」は距離があり、「に決まっている」は関与が強い
ここまで見てくると、二つの違いはかなり整理できます。
「に違いない」は、根拠から判断する表現です。
そのため、少し距離があります。 冷静で、分析的で、ドライに聞こえることもあります。
一方で、「に決まっている」は、話し手が強く言い切る表現です。
そこには、感情や思い込み、願望、怒り、非難、励ましなどが入りやすくなります。
かなり大ざっぱに言えば、
「に違いない」は、根拠を見て判断する。
「に決まっている」は、話し手が強く言い切る。
という違いです。
どちらも自然に使える文もある
もちろん、すべての文ではっきり差が出るわけではありません。
最初に見た文に戻ります。
あれだけ努力したのだから、合格するに違いない。
あれだけ努力したのだから、合格するに決まっている。
この二つは、どちらも自然です。
「あれだけ努力した」という根拠があるので、「に違いない」はかなり自然です。
一方で、「に決まっている」も自然です。
ただし、こちらは少し感情が強くなります。
たとえば、相手を励ますように、
あれだけ努力したんだから、合格するに決まっているよ。
と言う。
これは自然です。
ただ、この言い方には、冷静な分析だけではなく、
- 絶対に大丈夫だと思いたい気持ち
- 相手を安心させたい気持ち
- 強く信じている感じ
も入っています。
だから、同じ「強い確信」でも、少し温度が違います。
使うときの注意
日本語学習者にとって注意が必要なのは、「に決まっている」の方です。
会話ではよく使われます。 ただし、使い方によっては、かなり強く聞こえます。
たとえば、
そんなの間違っているに決まっている。
と言うと、かなり断定的です。
自分の考えを強く押し出している感じがあります。
そのため、相手によっては、少しきつく聞こえることがあります。
一方で、
それは間違っているに違いない。
と言うと、まだ根拠から判断している感じが残ります。
もちろん、これも強い表現ではあります。
ただ、「に決まっている」ほど、話し手の決めつけが前に出るわけではありません。
だから、丁寧に説明したいときや、客観的に述べたいときは、「に違いない」の方が使いやすい場合があります。
まとめ
「〜に違いない」と「〜に決まっている」は、どちらも強い確信を表す表現です。
ただし、二つの印象は少し違います。
「〜に違いない」は、根拠や状況から判断している感じがあります。
何かを見たり聞いたりして、
この状況なら、きっとそうだろう。
と考える表現です。
そのため、比較的冷静で、客観的・分析的に聞こえやすいです。
一方で、「〜に決まっている」は、話し手が強く言い切る表現です。
そこには、
- 思い込み
- 決めつけ
- 願望
- 怒り
- 非難
- 励まし
のような、話し手の感情や関与が出やすくなります。
かなり簡単にまとめるなら、
「に違いない」は、冷静な推論。
「に決まっている」は、強い断定。
という感じです。
似ている表現ですが、使う場面によって、聞こえ方はかなり変わります。
「何を根拠にそう思っているのか」だけでなく、「どれくらい話し手の感情が入っているのか」を見ると、違いがかなりわかりやすくなります。