塾長ノート

have been to はなぜ「行ったことがある」なのか

行って戻ってきた経験を表す

英語の現在完了形を勉強していると、 次の表現が出てきます。

I have been to Kyoto.

日本語では、 「私は京都に行ったことがある」 と訳すことが多いです。

ただ、ここで少し不思議に思う人もいるはずです。

「行ったことがある」なら、 なぜ gone ではなく been を使うのでしょうか。

I have gone to Kyoto.

ではダメなのか。

これは、現在完了形の中でもかなり大事なポイントです。

結論から言うと、 have been to は、 「行って、そこにいて、今は戻ってきている経験」 を表すと考えるとわかりやすいです。

ただし、ここで注意したいことがあります。

been to そのものが、 直接「戻る」という動作を表しているわけではありません。

中心にあるのは、 be です。

つまり、 have been to Kyoto は、英語の形としては、 「京都という到達先に身を置いた経験がある」 に近い表現です。

その経験を自然な日本語にすると、 「京都に行ったことがある」 になるわけです。

この記事では、 have been to がなぜ「〜に行ったことがある」になるのかを、 have gone to との違いも含めて整理していきます。

まず、been は be の過去分詞である

最初に確認しておきたいのは、 beenbe の過去分詞だということです。

be - was / were - been

つまり、 have been は、形としては be の現在完了形です。

ここを見落とすと、 have been to がかなり不思議に見えます。

日本語では「行ったことがある」と訳すため、 つい英語でも go が中心にあるように感じます。

しかし、英語の形としては、 go ではなく be が使われています。

I have been to Kyoto.

これは、直訳に近づければ、 「京都にいたことがある」 「京都という場所に身を置いたことがある」 に近い感覚です。

もちろん、日本語としては 「京都にいたことがある」 よりも、 「京都に行ったことがある」 のほうが自然です。

ただし、英語の発想としては、 その場所に到達し、そこにいた経験がある と考えると見通しがよくなります。

to は到達先を示す

次に、 to を見ます。

to は、かなりざっくり言えば、 到達先 を表す前置詞です。

go to school
come to Japan
travel to France

どれも、どこへ向かうのか、 どこに到達するのかを示しています。

では、 been to Kyoto はどうでしょうか。

これは、 「京都という到達先に身を置いたことがある」 と考えるとわかりやすいです。

I have been to Kyoto.

この文では、 「京都へ行く」という移動そのものを描写しているというより、 京都に到達し、そこにいた経験があることを表しています。

だから、日本語では自然に 「京都に行ったことがある」 と訳されます。

have been to ~
= 〜という到達先に身を置いた経験がある

been to は「戻る」を直接表しているわけではない

ここは、特に大事です。

have been to は、 「行って戻る」 という動作を一語で表しているわけではありません。

beenbe の過去分詞です。

そのため、 英語の形としては、 「その場所にいたことがある」 「その場所に身を置いた経験がある」 という表現です。

では、なぜ 「戻ってきた」 という意味が出てくるのでしょうか。

それは、 現在完了形の経験用法 として使われているからです。

I have been to Kyoto.

この文を言っている人は、 ふつう今、京都にいるわけではありません。

過去に京都を訪れた。

京都にいた。

そして今、その経験を持っている。

だから、 「行って、そこにいて、今は戻ってきている経験」 として理解されます。

つまり、 been to = 戻る ではありません。

正確には、 その場所に到達し、そこに身を置いた経験がある ということです。

その経験を話している今、話し手はふつう戻ってきている。

だから日本語では、 「〜に行ったことがある」 と訳されるわけです。

have been to は「完了した訪問」を表す

have been to で大事なのは、 その訪問が 完了している ということです。

I have been to Kyoto.

この文では、 京都に行った経験があることを述べています。

ただし、今まさに京都へ向かっている、 あるいは京都に行ったまま戻っていない、 という意味ではありません。

京都を訪れた経験が、今の自分の中にある。

そこに焦点があります。

現在完了形は、 過去の出来事を現在につなげて見る形です。

have been to では、 過去にその場所を訪れた経験が、 現在の自分の経験として残っているわけです。

ここで言っているのは、 過去の移動そのものというより、 今持っている経験 です。

have gone to は「行ってしまった」になりやすい

では、 have gone to はどうでしょうか。

He has gone to Kyoto.

これは、 「彼は京都に行ってしまった」 という意味になりやすいです。

つまり、 彼は京都へ向かった。

そして、今ここにはいない。

このような感じです。

gonego の過去分詞です。

go - went - gone

だから、 has gone to Kyoto は、 「京都へ行く」という移動が完了し、 その結果、今ここにはいない、 という意味になりやすいです。

ここが have been to との大きな違いです。

have been to ~
行って、そこにいた経験がある

have gone to ~
行ってしまって、今ここにはいない

たとえば、教室で先生が生徒を探している場面を考えます。

Where is Ken?
He has gone to the library.

この場合、 「ケンは図書館に行ったことがある」 という意味ではありません。

「ケンは図書館に行ってしまって、今ここにはいない」 という意味です。

ここでは、 gone が自然です。

「京都に行ったことがある」は have been to

たとえば、 「京都に行ったことがありますか」 と聞きたいとします。

この場合は、 have been to を使います。

Have you ever been to Kyoto?

これは、 「あなたは京都に行ったことがありますか」 という意味です。

この質問では、 相手が今京都にいるかどうかを聞いているわけではありません。

過去に京都を訪れた経験があるかどうかを聞いています。

だから、 gone ではなく been です。

Have you ever gone to Kyoto?

という形が絶対に存在しないわけではありません。

ただ、普通に 「京都に行ったことがありますか」 と経験を聞くなら、 Have you ever been to Kyoto? が自然です。

英語では、 「行ったことがある」 という経験を、 行って、そこにいたことがある と表していると考えるとよいです。

been to は「移動」よりも「経験」に注目している

have been to を理解するときに大切なのは、 移動そのものよりも、 経験 に注目することです。

I have been to London.

この文は、 「ロンドンへ移動した」 という移動の描写ではありません。

「ロンドンを訪れた経験がある」 という意味です。

ロンドンへ行き、そこにいて、今は戻ってきている。

その経験を今持っている。

だから現在完了形を使います。

現在完了形は、 過去の出来事を現在につなげる形です。

have been to では、 過去にその場所を訪れた経験が、 現在の自分の経験として残っているわけです。

have been in との違い

ここで、 have been in との違いも軽く見ておきます。

I have been to Canada.
I have been in Canada for three years.

上の have been to Canada は、 「カナダに行ったことがある」 という経験です。

一方、 have been in Canada for three years は、 「カナダに3年間いる」 という意味になります。

ここでは、 in が使われています。

in は、場所の中にいることを表します。

そのため、 have been in Canada for three years は、 カナダに滞在している状態が3年間続いている、 という意味になります。

つまり、 to は訪問・到達先としての場所、 in は滞在している場所、 と考えるとわかりやすいです。

have been to ~
〜に行ったことがある

have been in ~
〜にいる、〜に滞在している

「行ったことがある」は日本語の訳である

ここで少し大事なことがあります。

have been to を 「行ったことがある」 と訳すのは、日本語として自然だからです。

しかし、英語の中身をそのまま見るなら、 「行った」というより、 「そこにいた経験がある」 に近いです。

I have been to New York.

これは、日本語では 「ニューヨークに行ったことがある」 と訳します。

ただ、英語の形としては、 have gone to ではありません。

have been to です。

つまり、英語では 「ニューヨークに到達し、そこにいた経験がある」 という形で表しているわけです。

日本語訳だけを見ていると、 「行ったことがある」なのに、 なぜ been なのかがわかりにくくなります。

しかし、英語の形を見ると、 been が使われる理由はかなり自然です。

現在完了形の経験用法として見る

学校文法では、 現在完了形をいくつかの用法に分けて学びます。

  • 継続
  • 経験
  • 完了・結果

have been to は、この中では主に 経験 の用法です。

I have been to Kyoto twice.

これは、 「私は京都に2回行ったことがある」 という意味です。

ここで話しているのは、 具体的にいつ京都に行ったかではありません。

京都を訪れた経験が、今の自分にあるということです。

そのため、 evernever ともよく一緒に使われます。

Have you ever been to Kyoto?
I have never been to Kyoto.

ever は「今までに」、 never は「一度も〜ない」 という経験の有無を表しやすい語です。

だから、 have been to と相性がよいわけです。

同じ「行く」でも、見ているものが違う

日本語では、 行く という動詞でかなり広く表現できます。

しかし英語では、 見ているものによって形が変わります。

  • 移動そのものを見るなら go
  • 訪問経験を見るなら have been to
  • 行ってしまって不在であることを見るなら have gone to
  • 滞在している状態を見るなら have been in

たとえば、 「京都に行った」 と日本語で言っても、 英語では文脈によって変わります。

I went to Kyoto last year.

これは、 「去年京都に行った」 という過去の出来事です。

I have been to Kyoto.

これは、 「京都に行ったことがある」 という経験です。

He has gone to Kyoto.

これは、 「彼は京都に行ってしまった」 という現在の不在を含みやすい表現です。

同じ「行く」でも、 英語では 過去の出来事 なのか、 経験 なのか、 現在の不在 なのかを分けて表します。

have been to を無理に直訳しない

have been to は、直訳しようとすると少し苦しくなります。

「〜へいたことがある」 と考えれば、なんとなく意味は見えます。

しかし、日本語としてはやはり 「〜に行ったことがある」 のほうが自然です。

ここで大切なのは、 日本語訳と英語の発想を分けておくことです。

日本語では、 行ったことがある と訳す。

英語の発想としては、 その場所に到達し、そこにいた経験がある と見る。

このように分けておくと、 been が使われる理由がわかりやすくなります。

英語学習では、 訳語だけを覚えると、かえって混乱することがあります。

その表現が、英語の中でどのような見方をしているのかを見ることが大切です。

よくある間違い

最後に、よくある間違いを整理しておきます。

まず、 「〜に行ったことがある」 をそのまま have gone to にしてしまう間違いです。

× I have gone to Kyoto.

これ自体が常に文法的に間違いというわけではありません。

ただし、 「京都に行ったことがある」 という経験を言いたいなら、 ふつうは次の形です。

○ I have been to Kyoto.

次に、 have been in と混同する間違いです。

I have been to Canada.

これは、 「カナダに行ったことがある」 です。

I have been in Canada for three years.

これは、 「カナダに3年間いる」 です。

toin で、かなり意味が変わります。

ここは注意したいところです。

今回のまとめ

今回は、 have been to がなぜ 「〜に行ったことがある」 になるのかを整理しました。

beenbe の過去分詞です。

そのため、 have been to Kyoto は、英語の発想としては、 「京都に到達し、そこにいた経験がある」 に近いです。

その経験を自然な日本語にすると、 「京都に行ったことがある」 になります。

have been to ~
〜に行って、そこにいた経験がある

have gone to ~
〜に行ってしまって、今ここにはいない

ここで大事なのは、 been to が「戻る」という動作を直接表しているわけではない、 ということです。

been to は、その場所に到達し、そこに身を置いた経験を表しています。

そして、現在完了形の経験用法としてそれを話すとき、 話し手はふつうその場所から戻ってきています。

だから、 日本語では 「〜に行ったことがある」 になるわけです。

また、 have been in は、 ある場所に滞在している状態を表します。

  • I have been to Kyoto.:京都に行ったことがある
  • He has gone to Kyoto.:彼は京都に行ってしまった
  • I have been in Kyoto for a year.:京都に1年間いる

日本語ではどれも「行く」「いる」まわりの表現として処理できます。

しかし英語では、 経験なのか、移動の結果なのか、滞在なのかによって形が変わります。

have been to は、ただの丸暗記表現ではありません。

「行って、そこにいた経験がある」 と見ると、 なぜ been が使われるのかがかなり自然に見えてきます。

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