塾長ノート

同格の of とは何か

後ろの名詞が中身を言い換える

英語の of は、日本語ではよく「〜の」と訳されます。

ただし、 of の働きは一つではありません。

これまで見てきたように、 of には、全体と部分、所有、主格的な関係、目的格的な関係など、 いろいろな用法があります。

今回扱うのは、その中でも少し見落とされやすい 同格の of です。

たとえば、次のような表現です。

the city of Tokyo
東京という都市
the month of May
5月という月

これらの of は、所有を表しているわけではありません。

東京が都市を所有しているわけではありません。

5月が月を所有しているわけでもありません。

そうではなく、 of の後ろにある名詞が、前の名詞の中身を説明しています。

この記事では、 同格の of を、「所有」ではなく「言い換え・説明」として整理していきます。

同格とは何か

まず、 同格 という考え方から確認しておきます。

同格とは、かなり簡単に言えば、 同じものを別の名詞で言い換える関係 です。

たとえば、次のような表現を見てください。

my friend Taro
私の友人タロウ

ここでは、 my friendTaro が、同じ人物を指しています。

「私の友人」が誰なのか。

それはタロウです。

このように、片方の名詞がもう片方の名詞を言い換えたり、具体的に説明したりする関係を、 同格と呼びます。

もう一つ見てみます。

Paris, the capital of France
パリ、フランスの首都

この場合、 Paristhe capital of France は同じ都市を指しています。

「パリ」と言い、 それを「フランスの首都」と言い換えて説明しているわけです。

同格は、 「A、つまりB」 「AであるB」 「BというA」 のような関係だと考えるとわかりやすいです。

同格の of は「BというA」

では、 同格の of を見ていきます。

代表的なのは、次のような表現です。

the city of Tokyo

これを直訳的に「東京の都市」と考えると、少し変です。

もちろん、日本語として「東京の都市」と言えなくはありません。

しかし、この表現が言っているのは、 「東京が所有している都市」ではありません。

むしろ、 Tokyocity の中身を示しています。

つまり、 the city of Tokyo は、 「東京という都市」と考えると自然です。

the city of Tokyo
= Tokyo という city

後ろの Tokyo が、前の city を具体化しているわけです。

「どの都市なのか」 と聞かれたときに、 「東京という都市だ」と答える。

これが同格の of の基本です。

the month of May も同じ

もう一つ、よく見る例がこれです。

the month of May

これも、 「5月が所有している月」 ではありません。

そうではなく、 Maymonth の中身を説明しています。

the month of May
= May という month

つまり、 the month of May は「5月という月」です。

ここでも、 of の後ろの名詞が、前の名詞を具体的に説明しています。

これを「5月の月」と訳してしまうと、かなり不自然です。

日本語では「5月という月」と考えたほうが、英語の関係に近くなります。

所有の of との違い

同格の of を理解するには、 所有・所属の of と比べるとわかりやすいです。

the roof of the house
その家の屋根

この場合、 roofhouse は同じものではありません。

屋根と家は別のものです。

ただし、屋根は家に属しています。

だから、 the roof of the house は所有・所属に近い of です。

一方で、 次の表現はどうでしょうか。

the city of Tokyo

この場合、 cityTokyo は完全に別々のものではありません。

Tokyo が、 どの city なのかを説明しています。

つまり、関係としては、 「家と屋根」のような所有・所属ではなく、 「都市=東京」に近いです。

ここが、所有の of と同格の of の違いです。

「A of B」を「BというA」と読めるか

同格の of を見分けるときは、 A of BBというA と読めるかを考えるとよいです。

the city of Tokyo

これは、 「東京という都市」 と読めます。

the month of May

これは、 「5月という月」 と読めます。

the name of John

文脈にもよりますが、 「ジョンという名前」 と読める場合があります。

このように、 後ろの名詞が前の名詞の具体的な中身を示している場合、 同格的な of と考えることができます。

ただし、何でも BというA にすればよいわけではありません。

the roof of the house

これは、 「家という屋根」 とは言えません。

家と屋根は同じものではないからです。

the destruction of the city

これも、 「都市という破壊」 とは言えません。

都市は、破壊という出来事の対象です。

したがって、同格の of ではありません。

「同格」と言っても、完全なイコールとは限らない

ここで少し注意しておきたいことがあります。

同格の of は、 「A = B」と説明されることがあります。

たしかに、 the city of Tokyo は、 「都市=東京」 のように見えます。

ただし、あまり強くイコールで考えすぎると、少し雑になります。

正確には、 後ろの名詞が前の名詞の 具体的な中身名称 を示している、と考えたほうがよいです。

the month of May も、 「月=5月」と言えなくはありません。

しかし、より自然には、 「月という大きな分類があり、その具体例として5月を示している」 と考えるほうがわかりやすいです。

つまり、同格の of は、 前の名詞を後ろの名詞で具体化する of です。

同格の of は、名前・場所・時に多い

同格の of は、名前・場所・時を表す表現でよく見られます。

the city of London
ロンドンという都市
the island of Hokkaido
北海道という島
the month of April
4月という月
the name of Elizabeth
エリザベスという名前

どれも、 後ろの名詞が前の名詞の中身を示しています。

どの都市なのか。 ロンドンです。

どの島なのか。 北海道です。

どの月なのか。 4月です。

どの名前なのか。 エリザベスです。

こうして見ると、 同格の of はそれほど特殊なものではありません。

むしろ、 「分類名」と「具体名」を結びつける表現として見ると、 かなり自然です。

the fact that との関係

同格といえば、 英文法では the fact that... もよく出てきます。

the fact that he was absent
彼が欠席したという事実

これは、 that 以下が fact の中身を説明しています。

「どんな事実なのか」 と聞かれたときに、 「彼が欠席したという事実だ」 と答える関係です。

この意味では、 the fact that... も同格的な発想で理解できます。

ただし、 これは of ではなく that を使う表現です。

つまり、 同格という考え方は of だけに限られるものではありません。

of の同格用法は、 同格という大きな考え方の一部として見るとわかりやすくなります。

日本語の「という」に近い

同格の of は、日本語では「〜の」よりも 「〜という」 で考えたほうがわかりやすい場合があります。

the city of Tokyo
東京という都市
the month of May
5月という月
the name of Elizabeth
エリザベスという名前

「東京の都市」 「5月の月」 「エリザベスの名前」 と訳すと、少しずれることがあります。

もちろん文脈によって自然な訳は変わります。

ただ、同格の of では、 「〜という」と考えたほうが、 関係をつかみやすいことが多いです。

ここでも大事なのは、 of = 〜の と固定しすぎないことです。

of は、前後の名詞の関係を作る前置詞です。

その関係が所有なら「〜の」と訳せばよい。

その関係が同格なら「〜という」と考えたほうがよい。

訳語よりも、関係を見ることが大切です。

所有・主格・目的格との違いを整理する

ここで、 これまでの of と比べて整理しておきます。

the roof of the house

これは、所有・所属に近い of です。

屋根は家に属しています。

the arrival of the train

これは、主格的な of です。

電車が到着します。

the destruction of the city

これは、目的格的な of です。

都市が破壊されます。

the city of Tokyo

これは、同格の of です。

東京という都市です。

どれも of を使っています。

しかし、 of の後ろの名詞が、前の名詞と作っている関係は違います。

だから、 of を見るときは、ただ「〜の」と訳すだけではなく、 「これは何と何の関係なのか」を見る必要があります。

同格の of は深追いしすぎなくてよい

ここまで説明しておいて何ですが、 同格の of は、学習段階では深追いしすぎなくても大丈夫です。

まずは、 次のような形を見たときに、 所有ではなく「〜という」と読めることに気づければ十分です。

  • the city of Tokyo:東京という都市
  • the month of May:5月という月
  • the name of Elizabeth:エリザベスという名前

特に、中高生の英文読解では、 「〜の」と直訳すると不自然になる of に出会うことがあります。

そのときに、 「これは所有ではなく、後ろの名詞が前の名詞を説明しているのかもしれない」 と考えられるだけで、かなり読みやすくなります。

文法用語としての 同格 を完璧に覚えるより、 まずは 後ろの名詞が中身を言い換える という感覚を持つことが大切です。

今回のまとめ

今回は、 同格の of について整理しました。

同格とは、簡単に言えば、 同じものを別の名詞で言い換えたり、具体的に説明したりする関係です。

the city of Tokyo では、 Tokyocity の中身を説明しています。

つまり、 「東京という都市」です。

the month of May では、 Maymonth の中身を説明しています。

つまり、 「5月という月」です。

このような of は、所有ではありません。

後ろの名詞が、前の名詞を言い換えたり、具体化したりしています。

見分けるときは、 A of BBというA と読めるかを考えるとよいです。

  • the city of Tokyo:東京という都市
  • the month of May:5月という月
  • the name of Elizabeth:エリザベスという名前

ただし、何でも BというA にできるわけではありません。

the roof of the house は「家という屋根」ではありません。

the destruction of the city は「都市という破壊」ではありません。

だからこそ、 of を見るときは、 訳語ではなく関係を見る必要があります。

of は、ただの「〜の」ではありません。

前後の名詞の関係を作る前置詞です。

その関係が所有なのか、主格的なのか、目的格的なのか、同格的なのか。

そこに目を向けると、 英語の名詞表現はかなり見えやすくなります。

Feedback

この記事は参考になりましたか?

よろしければ「参考になった」を押してください。今後の記事づくりの参考になります。

0件のリアクション