英語の of は、多くの場合「〜の」と訳されます。
たとえば、 the name of the school なら「その学校の名前」、 a cup of coffee なら「一杯のコーヒー」と訳せます。
たしかに、日本語にするときは「〜の」で処理できることが多いです。
ただ、そこで終わってしまうと、 of の本当の働きはかなり見えにくくなります。
なぜなら、 of は単に「〜の」という意味を持っているというより、 名詞と名詞のあいだに関係を作る前置詞 だからです。
今回は、 of の用法を、まず意味の面からざっくり整理していきます。
主格の of 、目的格の of 、同格の of などの細かい文法分類は、最後に少しだけ触れます。
この記事では、まず of は何をしている前置詞なのか という全体地図を作ることを目標にします。
of は「〜の」と訳せるが、それだけでは足りない
まず、よくある of の例を見てみます。
the roof of the house
その家の屋根
the color of the wall
その壁の色
the title of the book
その本の題名
どれも「〜の」と訳せます。
そして、実際に日本語訳としてはそれで問題ありません。
ただし、英語の of は、日本語の「の」と完全に同じではありません。
日本語の「の」は非常に広い言葉です。 所有も、所属も、説明も、材料も、内容も、かなり広く「の」でつなげます。
だから、英語の of をすべて「の」で覚えてしまうと、 表面上は訳せても、文の中でどんな関係が作られているのかが見えにくくなります。
大事なのは、 of = 〜の と覚えることではありません。
大事なのは、 of が前後の名詞のあいだに、どんな関係を作っているのか を見ることです。
of の中心には「関係づける」働きがある
of は、前置詞です。
前置詞は、名詞や代名詞の前に置かれて、 ほかの語との関係を作ります。
その中でも of は、特に 名詞と名詞の関係 を作る場面でよく使われます。
the name of the school
ここでは、 name と school が of によって結びついています。
ただ「名前」と言うだけでは、何の名前かわかりません。
そこで of the school をつけることで、 「学校に関係する名前」、 つまり「その学校の名前」だとわかります。
このように、 of は、前の名詞を後ろの名詞によって説明したり、 限定したり、関係づけたりします。
だから、 of を理解するときは、 「日本語でどう訳すか」だけでなく、 前の名詞と後ろの名詞がどうつながっているか を見る必要があります。
全体と部分を表す of
まず、かなり基本的なのが、 全体と部分を表す of です。
one of my friends
私の友達の一人
some of them
彼らのうちの何人か
three of the students
その生徒たちのうちの3人
これらは、あるまとまりの中から一部を取り出しています。
my friends という友達のまとまりがあり、 その中から一人を取り出す。
them というまとまりがあり、 その中から何人かを取り出す。
the students という生徒たちのまとまりがあり、 その中から3人を取り出す。
ここでの of は、 全体と、その中の一部 を結びつけています。
最上級で使われる of も、この感覚とつながります。
He is the tallest of the three.
彼は3人の中で一番背が高い。
ここでは、 the three という3人のまとまりの中から、 一番背が高い人を取り出しています。
つまり、 of は「集団の中から一部を取り出す」働きをすることがあります。
所有・所属を表す of
次に、 所有・所属を表す of です。
the roof of the house
その家の屋根
the door of the room
その部屋のドア
a member of the team
そのチームの一員
これらは、 後ろの名詞に前の名詞が属している関係です。
屋根は家に属している。
ドアは部屋に属している。
メンバーはチームに属している。
日本語では、どれも「〜の」で訳せます。
ただ、ここでも大事なのは、 所有 だけに限定しないことです。
the roof of the house は「家が屋根を所有している」というより、 「屋根が家に属している」と考えたほうが自然です。
a member of the team も、 チームがメンバーを所有しているというより、 メンバーがチームの一部であるという関係です。
of は、所有だけでなく、 所属や一部であることを表すことがあります。
内容・中身を表す of
of は、内容や中身を表すこともあります。
a cup of coffee
一杯のコーヒー
a glass of water
一杯の水
a piece of cake
一切れのケーキ
これらは、 容器や単位と、その中身を結びつけています。
a cup だけでは、何が入っているのかわかりません。
of coffee をつけることで、 コーヒーが入った一杯だとわかります。
a glass of water も同じです。
グラスという容器・単位に対して、 その中身が water であることを示しています。
a piece of cake では、 piece という単位に対して、 その中身・対象が cake であることを示しています。
ここでも、 of は前の名詞と後ろの名詞の関係を作っています。
材料・構成要素を表す of
of は、材料や構成要素を表すこともあります。
a house of stone
石造りの家
a ring of gold
金の指輪
a group of students
生徒たちの集団
a house of stone では、 家が石でできていることを表しています。
a ring of gold では、 指輪が金という材料でできていることを表しています。
a group of students では、 集団を構成しているのが生徒たちであることを表しています。
ここでの of は、 前の名詞が何によって成り立っているのかを示しています。
ただし、材料を表すからといって、 いつも of を使うわけではありません。
英語では、 made of や made from のような表現もあります。
ここを細かく扱うと別記事になるので、 今回は of には材料・構成要素を示す働きもある くらいで押さえておけば十分です。
原因・理由を表す of
少し発展的ですが、 of は原因や理由を表すこともあります。
die of cancer
がんで亡くなる
be proud of his son
彼の息子を誇りに思う
be afraid of dogs
犬を怖がる
die of cancer では、 死の原因が cancer であることを示しています。
be proud of his son では、 誇りに思う感情が his son に向いています。
be afraid of dogs では、 恐怖の対象が dogs です。
このあたりは、 「〜の」と訳すだけではかなり苦しいところです。
しかし、広く見れば、 前の状態や感情が、後ろの名詞と関係づけられている と見ることができます。
of は、もの同士の所有関係だけでなく、 原因や対象の関係も作ることがあるのです。
説明・同格に近い of
of には、説明や同格に近い働きもあります。
the city of Tokyo
東京という都市
the month of May
5月という月
the fact of his absence
彼が不在であるという事実
the city of Tokyo は、 「東京が所有している都市」という意味ではありません。
そうではなく、 city の中身を Tokyo が説明しています。
the month of May も、 「5月が所有している月」ではありません。
May が month の具体的な中身を示しています。
このような of は、 同格の of と呼ばれることがあります。
つまり、後ろの名詞が前の名詞を説明し、 「それが何であるか」を示しているわけです。
ここも、今後かなり面白く掘れるところです。
特に、 the city of Tokyo と the destruction of the city では、同じ of でも文法的な関係がかなり違います。
その違いは、別の記事で扱ったほうがよさそうです。
of は「名詞を説明する装置」として見てもよい
ここまで見てきたように、 of にはいろいろな用法があります。
- 全体と部分
- 所有・所属
- 内容・中身
- 材料・構成要素
- 原因・対象
- 説明・同格
これだけを見ると、 of はとても複雑な前置詞に見えます。
実際、複雑です。
ただし、全部をバラバラに覚える必要はありません。
まずは、 of は前の名詞を後ろの名詞で説明する くらいに考えると、かなり見通しがよくなります。
the roof of the house
どんな屋根なのか。
家に属する屋根です。
a cup of coffee
どんな一杯なのか。
コーヒーの一杯です。
the city of Tokyo
どんな都市なのか。
東京という都市です。
このように、 of は前の名詞を、後ろの名詞によって具体化します。
「〜の」という訳は、その結果として出てくることが多いだけです。
ただし、意味だけでは整理しきれない
ここまで、意味の面から of を整理してきました。
これは、学習者にとってかなり役に立つ見方です。
ただし、 of は意味だけで完全に整理できるわけではありません。
文法的に見ると、 of の後ろの名詞が、前の名詞に対してどのような関係にあるのかが問題になります。
たとえば、次の2つを見てください。
the arrival of the train
the destruction of the city
どちらも、 名詞 + of + 名詞 という形です。
しかし、中身は同じではありません。
the arrival of the train は、 「電車が到着する」という関係です。
the train arrived
つまり、 the train は、 arrival に対して意味上の主語のように働いています。
一方、 the destruction of the city は、 「都市が破壊する」ではありません。
「都市が破壊される」 あるいは 「誰かが都市を破壊する」 という関係です。
someone destroyed the city
つまり、 the city は、 destruction に対して意味上の目的語のように働いています。
ここに、 主格の of や 目的格の of という分類が関わってきます。
意味論的な見方と統辞論的な見方
少しだけ専門的に言うと、 言葉の分析には、 意味論的な見方 と 統辞論的な見方 があります。
意味論的な見方では、 「その表現がどのような意味関係を表しているか」を見ます。
たとえば、 of が全体と部分を表すのか、 所属を表すのか、 内容を表すのか、 原因を表すのか、といった見方です。
一方、統辞論的な見方では、 「文の中で語がどのような構造関係を持っているか」を見ます。
the arrival of the train の the train が意味上の主語に近いのか、 the destruction of the city の the city が意味上の目的語に近いのか。
こうした見方は、統辞的な分類に近づいていきます。
どちらが正しいという話ではありません。
むしろ、 意味の面から見ると見えること と、 構造の面から見ると見えること がある、と考えたほうがよいです。
今回の記事では、まず意味の面から of の全体地図を作りました。
主格・目的格・同格・所有といった統辞的な分類は、 今後の記事で改めて扱っていきます。
今回のまとめ
of は、日本語では「〜の」と訳されることが多い前置詞です。
しかし、 of = 〜の とだけ覚えてしまうと、 その働きはかなり見えにくくなります。
of は、前の名詞と後ろの名詞を結びつけ、 そのあいだにさまざまな関係を作ります。
- one of my friends:全体と部分
- the roof of the house:所有・所属
- a cup of coffee:内容・中身
- a ring of gold:材料・構成要素
- die of cancer:原因
- the city of Tokyo:説明・同格
まずは、 of は名詞と名詞の関係を作る前置詞である と考えるとよいです。
そのうえで、 それが全体と部分なのか、所有なのか、内容なのか、原因なのか、同格なのかを見ていく。
そうすると、 of はただの「〜の」ではなくなります。
英語の名詞表現を組み立てるための、 かなり重要な前置詞として見えてきます。
そして、さらに細かく見るなら、 主格の of 、 目的格の of 、 同格の of 、 所有の of のような統辞的な分類も必要になります。
ただ、そこまで一気に詰め込むと、 かえって見通しが悪くなります。
まずは今回のように、 意味の面から of の全体地図を作る ことが大切です。
そこから、必要に応じて統辞的な分類へ進んでいけばよいと思います。