塾長ノート

people は person の複数形なのか

人と人々だけでは終わらない

英語を学び始めると、 person は「人」、 people は「人々」と習うことが多いです。

one person
1人の人
many people
多くの人々

これは、最初の理解としては間違っていません。 実際、ふつうの英語では、person の複数形として people がよく使われます。

しかし、ここで話が終わるわけではありません。

英語には persons という形もあります。 さらに、a peoplepeoples という形もあります。

つまり、

person = 人
people = 人々

だけで覚えていると、途中でつまずくことがあります。

今回は、 person / people / persons / peoples の関係を整理していきます。

基本は person が単数、people が複数

まず、いちばん基本的なところから確認します。

person は、基本的に「1人の人」を表します。

She is a kind person.
彼女は親切な人です。
I met an interesting person yesterday.
昨日、おもしろい人に会いました。

ここでは、1人の個人を見ています。

一方、複数の人を表すとき、日常的には people を使います。

There were many people at the station.
駅にはたくさんの人がいました。
Three people came to the meeting.
3人が会議に来ました。

ふつうの会話や文章では、複数の人を表すときは people が自然です。

その意味では、

person の普通の複数形は people

と考えて大丈夫です。

ただし、これは「persons という形が存在しない」という意味ではありません。 ここが少しややこしいところです。

persons という複数形も存在する

person の複数形として、persons という形もあります。

Any person or persons found in this area will be reported.
この区域で発見された者は通報されます。
The elevator can carry up to eight persons.
このエレベーターは最大8名まで乗れます。

persons は間違いではありません。 ただし、日常会話ではあまり使いません。

persons は、かなりフォーマルで、法律・規則・掲示・公式文書などに出やすい語です。

たとえば、日本語でも、

3人の人

と言うこともできますが、法律や掲示では、

3名
該当者
関係者
不審者

のような、少しかたい表現が使われることがあります。

persons も、それに近いです。 普段の会話で、

I saw three persons in the park.

と言うと、意味は通じますが、少しかたく聞こえます。

ふつうは、

I saw three people in the park.
公園で3人の人を見ました。

のほうが自然です。

people は複数扱いになる

people は、複数の人を表すとき、文法的にも複数扱いになります。

People are waiting outside.
人々が外で待っています。
Many people were injured.
多くの人がけがをしました。

ここで、

People is waiting outside.

とは言いません。

people は形としては -s がついていませんが、 「人々」という意味では複数扱いです。

ここは日本語話者にとって少し注意が必要です。

英語では、複数形と聞くと -s がつくものを思い浮かべがちです。

book → books
student → students
room → rooms

しかし、people は -s がなくても複数扱いです。 これは、child の複数形が children になるのと同じように、 形が少し特別な語だと考えるとよいです。

one child → two children
one person → two people

ふつうの英語では、この感覚で使えば大丈夫です。

people は「人間一般」も表す

people は、数えられる複数の人だけでなく、 人間一般を表すこともあります。

People need sleep.
人は睡眠を必要とします。
People make mistakes.
人は間違えるものです。
People say that time is money.
時は金なりと言われます。

この people は、特定の何人かを指しているわけではありません。 人間一般、世間の人々、一般の人を表しています。

日本語では「人は」「人々は」「世間では」などと訳せます。

ここでも people は複数扱いです。

People are different.
人はそれぞれ違います。

「人間一般」を表す場合でも、people are の形になります。

persons は「個々の人」を強く見る

persons は、people よりも、 一人ひとりの個人を意識しやすい語です。

たとえば、法律や規則では、 「そこにいる人々」というぼんやりした集団よりも、 一人ひとりを対象として数える必要があります。

This room can hold 20 persons.
この部屋は20名まで収容できます。

これは、日常会話なら、

This room can hold 20 people.

でも十分自然です。

ただし、掲示や規則、法律文書などでは persons が使われることがあります。 そこでは、

1人、2人、3人……

と、個々の人を数えている感じが出ます。

つまり、かなりざっくり言えば、

  • people:ふつうの複数の人。集団として見やすい。
  • persons:個々の人を数える、フォーマル・法律的。

という違いがあります。

people は「国民・民族」にもなる

ここからが、少しおもしろいところです。

people は、複数の人を表すだけではありません。 1つの民族・国民・集団を表すこともあります。

The Japanese people have a long history.
日本人という民族・国民には長い歴史があります。
They are a proud people.
彼らは誇り高い民族です。

この場合の people は、「たくさんの人々」というより、 1つのまとまりを持った集団を表しています。

つまり、

a people

という形もありえます。

ここでは people が「人々」ではなく、 「民族」「国民」「共同体」のような意味になっています。

これは、さきほどの people とは少し違います。

意味 扱い
people 人々 複数扱い
a people 1つの民族・国民 単数扱い

ここが、今回の重要ポイントです。

people はいつでも単純に「人々」ではありません。 「民族・国民」という意味では、1つのまとまりとして扱うことがあります。

peoples は「諸民族」

では、peoples は何でしょうか。

people にさらに -s がついているので、最初は変に見えるかもしれません。

しかし、a people が「1つの民族・国民」を表すなら、 peoples はその複数です。

the peoples of Asia
アジアの諸民族
indigenous peoples
先住民族
the peoples of the world
世界の諸民族

ここでの peoples は、「人々たち」という意味ではありません。

1人、2人の人を数えているのではなく、 民族や国民という集団を複数数えています。

a people:1つの民族
peoples:複数の民族

という関係です。

つまり、people には2つの方向があります。

  • 複数の人、人々
  • 1つの民族・国民

そして、後者の意味では peoples という複数形が出てきます。

person / people / persons / peoples を整理する

ここまでの内容を表にすると、かなり見えやすくなります。

主な意味 使われ方
person 1人の人 単数。個人を指す。
people 人々 person の普通の複数形。複数扱い。
persons 複数の個人 フォーマル・法律的。個々の人を数える感じ。
a people 1つの民族・国民 まとまりを持った集団。単数扱い。
peoples 複数の民族・諸民族 a people の複数形。

こうして見ると、 people は person の複数形です という説明は、半分正しいです。

ふつうの英語では、person の複数として people を使います。 しかし、people には「人々」以外に「民族・国民」という意味もあります。 さらに、persons という形も存在します。

だから、正確には、

person の普通の複数形は people。
ただし persons もあり、people には「民族・国民」の単数的な用法もある。

と考えるのがよいです。

なぜ person の複数が people になるのか

ここで少しだけ、英語らしい見方をしてみます。

person は、1人の個人を表します。

one person
1人の人

一方、people は、複数の人を集団として見るときに使われます。

many people
多くの人々

つまり、person は「個」に焦点があり、 people は「集まり」に焦点があります。

もちろん、people も人数を数えることができます。

two people
2人
five people
5人

ただ、語感としては、person よりも集団・人々の感じが出やすいです。

一方で persons は、複数であっても、 1人ひとりの個人を事務的に数える感じがあります。

missing persons
行方不明者
persons under 18
18歳未満の者

このような表現では、人を個別の対象として扱っています。

people は「人々」。 persons は「者たち」「該当者たち」。

少し乱暴に言えば、そんな違いです。

日本語の「人」も意外と幅が広い

ここで、日本語の「人」についても少し考えてみます。

日本語では「人」という言葉を、かなり広く使えます。

1人の人
多くの人
日本の人
人は間違えるものだ
あの人は親切だ

日本語では、単数・複数を英語ほどはっきり形で分けません。

「人」と言っても、1人のこともあれば、複数のこともあります。 「人々」と言えば複数がはっきりしますが、日常では「人」だけで複数を表すこともあります。

しかし英語では、単数・複数の区別が文法に強く出ます。

a person
people

この違いを意識する必要があります。

ただし、people もまた単純ではありません。 「人々」として複数扱いにもなれば、 「1つの民族」として単数的にも使われます。

ここが、英語のややこしくもおもしろいところです。

people are と a people is

people の用法で特に注意したいのは、動詞の形です。

「人々」という意味の people は複数扱いです。

People are waiting outside.
人々が外で待っています。
Many people are interested in English.
多くの人が英語に興味を持っています。

一方、a people が「1つの民族・国民」を表す場合は、単数的に扱われることがあります。

They are a people with a long history.
彼らは長い歴史を持つ民族です。

この場合、a people は「1つのまとまり」として見られています。

つまり、

people are:人々は
a people:1つの民族・国民

という違いです。

英文を読むときには、people の前に a があるかどうかを見ると、 意味の違いに気づきやすくなります。

ordinary people と a people は違う

次の2つを比べると、違いがよくわかります。

ordinary people
普通の人々
a proud people
誇り高い民族

ordinary people は、普通の人々、一般の人たちです。 人を複数の集まりとして見ています。

一方、a proud people は、1つの民族や国民をまとまりとして見ています。

同じ people でも、

  • people:人々
  • a people:1つの民族・国民

という違いがあります。

ここは、大学入試や英検の長文でも、知っていると読みやすくなるところです。

学習者はどう覚えればよいか

最初からすべてを細かく覚える必要はありません。 まずは、次の順番で整理するとよいです。

  • person:1人の人
  • people:複数の人、人々
  • persons:フォーマルな複数形
  • a people:1つの民族・国民
  • peoples:複数の民族・諸民族

中学生・高校生の英作文では、基本的には次の使い方で十分です。

one person
1人
two people
2人
many people
多くの人々

persons は、まずは「存在は知っておく」くらいでよいです。 自分で日常的に使う場面は多くありません。

一方、people が「民族・国民」を表す用法は、読解で出てくる可能性があります。 特に、歴史・文化・社会問題の英文では注意したいところです。

英作文では people を基本にする

英作文では、複数の人を表すときは、基本的に people を使えば大丈夫です。

There are many people in Tokyo.
東京には多くの人がいます。
I met three people yesterday.
私は昨日3人に会いました。
Young people use smartphones every day.
若者は毎日スマートフォンを使います。

これらを persons にする必要はありません。

I met three persons yesterday.

でも意味は通じますが、日常的な英作文ではやや不自然です。

なので、学習者向けには、

普通の複数は people

と考えておくのが安全です。

persons は、法律・規則・掲示・かなりフォーマルな文章で見かける語として押さえておけば十分です。

読解では peoples に注意する

英文を読んでいて peoples が出てきたら、 「人々たち」と訳さないように注意が必要です。

the peoples of the world

は、「世界の人々たち」ではなく、 文脈によっては「世界の諸民族」と考えると自然です。

indigenous peoples

は、「先住民族」と訳されることが多い表現です。

peoples は、1人ひとりの人を複数にしているのではなく、 民族や国民というまとまりを複数にしています。

ここを知っていると、社会・歴史・文化に関する英文が読みやすくなります。

まとめ

people は、たしかに person の普通の複数形として使われます。

one person
two people

これは、基本として覚えておいて大丈夫です。

しかし、person と people の関係は、それだけでは終わりません。

  • person は「1人の人」
  • people は「人々」で、ふつうの複数形として使う
  • persons はフォーマル・法律的な複数形
  • a people は「1つの民族・国民」
  • peoples は「複数の民族・諸民族」

つまり、people は単純に「人々」とだけ覚えるには少し広い語です。

普通の英作文では、

one person
two people
many people

を使えれば十分です。

ただし、読解では、

persons
a people
peoples

が出てくることがあります。

そのときに、 「people は person の複数形でしょ」とだけ考えていると、意味が取りにくくなります。

person は個人。 people は人々。 persons は個々の人をかたく数える表現。 a people は1つの民族。 peoples は諸民族。

このように整理しておくと、英語の「人」をめぐる表現がかなり見えやすくなります。

Feedback

この記事は参考になりましたか?

よろしければ「参考になった」を押してください。今後の記事づくりの参考になります。

0件のリアクション