run と聞くと、多くの人はまず「走る」を思い浮かべると思います。
He runs every morning.
彼は毎朝走ります。
I ran to the station.
私は駅まで走りました。
これは run の基本的な意味です。 中学英語でも早い段階で出てくる単語です。
ところが、英語の run は「走る」だけではありません。
My father runs a small restaurant.
私の父は小さなレストランを経営しています。
She runs a company.
彼女は会社を経営しています。
He runs a language school.
彼は語学学校を運営しています。
ここでの run は、「走る」ではありません。 「経営する」「運営する」「切り盛りする」という意味です。
日本語だけで考えると、
走る
↓
経営する
という変化は、かなり遠く見えます。
しかし、run の中心を「足で走る」だけではなく、 何かが動く、あるいは 何かを動かし続けるという感覚で見ると、意味のつながりが見えてきます。
今回は、run がなぜ「経営する」「運営する」という意味になるのかを、 「動き続けるものを管理する」という発想から整理していきます。
run の中心には「動き」がある
run の基本は、もちろん「走る」です。
The boy is running in the park.
その男の子は公園で走っています。
ここでは、人が足を使って速く移動しています。
ただ、run の意味の中心をもう少し広く見ると、 止まらずに動いているという感覚があります。
たとえば、水にも run を使います。
Tears ran down her face.
涙が彼女の顔を伝って流れました。
The river runs through the town.
その川は町を流れています。
ここでは、誰かが足で走っているわけではありません。 涙や川が流れています。
つまり run は、「人が走る」だけでなく、 何かが一定の方向へ動く・流れるという意味にも広がります。
この「動き続ける」という感覚が、run のさまざまな意味の土台になります。
機械やプログラムも run する
run は、機械にも使われます。
The engine is running.
エンジンが動いています。
My computer is running slowly.
私のコンピューターは動作が遅いです。
ここでの run は、「走る」ではありません。 「作動している」「動いている」という意味です。
また、コンピューターのプログラムにも run を使います。
Run the program.
そのプログラムを実行しなさい。
This app runs on Windows.
このアプリは Windows 上で動作します。
プログラムは足で走りません。 しかし、処理は動いています。 命令が実行され、システムが機能しています。
だから run を使います。
ここまで見ると、run の中心が「人が走る」だけではないことがわかります。
人が走る
水が流れる
機械が動く
プログラムが動く
どれも、何かが止まらずに動いているという感覚でつながっています。
店や会社も run する
ここまで来ると、run が「経営する」になる流れも見えてきます。
店や会社は、機械ではありません。 しかし、店や会社も一つの仕組みとして動いています。
たとえば、レストランを考えてみます。
- 仕入れをする
- 料理を作る
- 接客をする
- 会計をする
- スタッフのシフトを組む
- 売上を管理する
これらが止まらずに回っているから、店は営業できます。
つまり、店を経営するというのは、 店という仕組みを動かし続けることです。
だから英語では、
run a restaurant
レストランを経営する
run a shop
店を経営する
run a company
会社を経営する
と言えます。
ここでの run は、「自分が走る」という意味ではありません。
店や会社がうまく動くように、 人・お金・物・時間・仕組みを管理している。 その全体を run で表していると考えるとわかりやすいです。
run a business は「事業を動かす」
とてもよく使われる表現に、run a business があります。
He runs a small business.
彼は小さな事業を営んでいます。
It is difficult to run a business.
事業を経営するのは難しいです。
She knows how to run a business.
彼女は事業の運営の仕方を知っています。
run a business は、日本語では「事業を経営する」「商売を営む」「会社を運営する」などと訳せます。
business は、ただ存在しているだけでは動きません。 商品やサービスを用意し、顧客に届け、売上を管理し、人を動かし、問題を処理する必要があります。
そういう一連の流れを止めずに動かすことが、run a business です。
日本語で「経営する」と言うと、少し硬く聞こえるかもしれません。 しかし、英語の run は感覚的には、
事業を回す
店を動かす
組織を運営する
に近いです。
日本語でも「店を回す」「現場を回す」と言います。 この「回す」に近い感覚が、run にはあります。
own と run は違う
run を理解するときには、own との違いも大切です。
He owns a hotel.
彼はホテルを所有しています。
He runs a hotel.
彼はホテルを経営しています。
own は「所有する」です。 そのホテルの持ち主であるという意味です。
一方、run は「運営する」です。 そのホテルが実際に動くようにしているという意味です。
もちろん、同じ人が所有者であり、実際にそのホテルを run していることもあります。
しかし、理屈としては、
- own:持っている
- run:動かしている
と分けられます。
たとえば、オーナーは別にいて、店長が実際に店を run していることもあります。
The owner lives abroad, but his brother runs the hotel.
オーナーは海外に住んでいますが、彼の兄弟がそのホテルを経営しています。
持っていることと、動かしていることは違います。 だから own と run は違います。
run は「管理する」よりも「回す」に近い
run を「管理する」と訳すことはあります。 しかし、run の感覚は、ただの静かな管理ではありません。
書類を保管するだけ。 ルールを決めるだけ。 上から見ているだけ。
それよりも、run にはもっと動きがあります。
仕組みを動かす
現場を回す
問題を処理する
人を配置する
活動を続ける
そういう動的な管理です。
だから、run a business は、 「事業を持っている」というだけではありません。 実際にその事業が動くようにしているという意味です。
日本語で言えば、
店を回す
事業を回す
組織を回す
という感覚に近いです。
run は、単に足で走るだけではありません。 何かが動く。 何かを動かす。 何かが回り続けるようにする。
その延長に、「経営する」「運営する」があります。
学習者はどう覚えればよいか
run は意味が多いので、すべてを一つずつ丸暗記しようとすると大変です。
まずは、中心にあるイメージを持つとよいです。
run = 動く・流れる・作動する・動かし続ける
そのうえで、今回の記事では特に「経営する」「運営する」に関係する使い方を覚えます。
| 表現 | 意味 | 中心イメージ |
|---|---|---|
| run a business | 事業を経営する | 事業を動かす |
| run a shop | 店を経営する | 店を回す |
| run a restaurant | レストランを経営する | 営業の仕組みを動かす |
| run a company | 会社を経営する | 組織を動かす |
| well-run | うまく運営された | 仕組みがよく回っている |
こうして見ると、run の「経営する」は完全にバラバラな意味ではありません。
人が走る。 水が流れる。 機械が動く。 プログラムが動く。 店や会社を動かす。
どれも、「動き」が中心にあります。
英作文ではどう使えばよいか
英作文では、run を「走る」だけでなく、 「経営する」「運営する」にも使えると表現の幅が広がります。
たとえば、
私の母は小さな店を経営しています。
なら、
My mother runs a small shop.
と言えます。
「彼は会社を経営しています」なら、
He runs a company.
です。
「彼女は英語教室を運営しています」なら、
She runs an English school.
と言えます。
どれも難しい単語ではありません。 しかし、run を「走る」とだけ覚えていると出てきません。
基本単語ほど、意味の広がりを見ることが大切です。
run の熟語は別記事で整理する
なお、run には run out of, run into, run away, run after, run through など、たくさんの熟語・句動詞があります。
これらも run の原義とつながるおもしろい表現です。
ただし、この記事で全部扱うとテーマが広がりすぎます。 この記事では、run が「経営する」「運営する」になる流れに絞りました。
run を使った熟語や句動詞については、別記事でまとめて整理します。
まとめ
run は「走る」と訳されることが多い単語です。 しかし、それだけでは run の意味は捉えきれません。
- run の中心には「動く」「流れる」「作動する」という感覚がある
- 人だけでなく、水・機械・プログラムも run する
- run a business は「事業を経営する」
- run a shop は「店を経営する」
- run a company は「会社を経営する」
- run は、仕組みを動かし続けるという意味に広がる
- own は「所有する」、run は「動かして運営する」
run が「経営する」になるのは、意味が飛びすぎているわけではありません。
人が走る。 水が流れる。 機械が動く。 プログラムが動く。 店や会社を動かす。
このように、run の意味は「動き」を中心に広がっています。
だから、run a business は、
事業という仕組みを動かし続ける
という意味で理解できます。
英単語は、日本語訳を一つだけ覚えると、すぐに限界が来ます。 run = 走る、とだけ覚えていると、run a company や run a shop がわからなくなります。
しかし、run を「動く」「動かす」「回す」という感覚で見ると、 いろいろな意味がつながって見えてきます。
基本単語ほど、意味は深いです。 run は、その代表的な単語の一つです。