塾長ノート

deep と deeply の違い

形と意味で変わる副詞

deepdeeply は、どちらも「深く」と訳されることがあります。

He dug deep.
彼は深く掘った。
I was deeply moved.
私は深く感動した。

どちらも日本語では「深く」と訳せます。 しかし、英語としてはかなり使い方が違います。

簡単に言えば、deep は空間的・具体的な「深く」に寄りやすい語です。 一方、deeply は感情・程度・抽象的な「深く」に寄りやすい語です。

ただし、この話をするときに少しややこしいのが、 deep は形容詞でありながら、副詞のようにも使われるという点です。

学校では、基本的に「形容詞に -ly をつけると副詞になる」と習います。 たしかにこれは大事なルールです。

slow → slowly
careful → carefully
quick → quickly

しかし英語には、-ly をつけないまま副詞として使われる語もあります。 これを英語では flat adverb、日本語では「単純形副詞」などと呼ぶことがあります。

deep / deeply の違いを理解するには、この単純形副詞の考え方を少し知っておくと、とても見通しがよくなります。

まず deep は形容詞として使う

まず、deep の基本は形容詞です。 名詞を説明して「深い」という意味を表します。

This lake is deep.
この湖は深い。
The river is very deep here.
このあたりの川はとても深い。
There is a deep hole in the ground.
地面に深い穴があります。

この deep は、名詞や主語の性質を説明しています。 「深い湖」「深い川」「深い穴」のように、物理的な深さを表しています。

ここまではそれほど難しくありません。 deep は形容詞として「深い」と覚えれば大丈夫です。

deep は副詞としても使われる

ところが、deep は形容詞だけではありません。 副詞として「深く」という意味でも使われます。

He dug deep into the ground.
彼は地面を深く掘った。
The roots go deep into the soil.
その根は土の中深くまで伸びている。
The treasure was buried deep under the ground.
その宝は地面の深いところに埋められていた。

これらの deep は、形としては形容詞と同じです。 しかし働きとしては、dig, go, bury などの動詞の内容を説明しています。

つまり、「深く掘る」「深く伸びる」「深く埋められている」のように、動きや状態の深さを表しています。

このように、形容詞と同じ形のまま副詞として使われるものを、単純形副詞と呼ぶことがあります。

deeply は感情や程度の深さに使いやすい

一方、deeply は、ふつう感情や程度の深さを表すときによく使われます。

I was deeply moved by the story.
私はその話に深く感動した。
She was deeply shocked by the news.
彼女はその知らせに深くショックを受けた。
He is deeply interested in Japanese culture.
彼は日本文化に深い関心を持っている。
They were deeply disappointed with the result.
彼らはその結果に深く失望した。

ここでの deeply は、物理的に「深い場所へ」という意味ではありません。 感情や関心、評価の程度が大きいことを表しています。

日本語ではどちらも「深く」と訳せるので、少しわかりにくいです。 しかし英語では、

  • deep:空間的・具体的な深さ
  • deeply:感情・程度・抽象的な深さ

という傾向があります。

dig deep と deeply moved を比べる

deep / deeply の違いは、次の2つを比べるとかなり見えやすくなります。

dig deep
深く掘る
be deeply moved
深く感動している

dig deep は、穴を掘る、地面を掘る、奥へ進むというような具体的なイメージです。

一方、deeply moved は、心が大きく動かされたという意味です。 物理的にどこかへ深く入っているわけではありません。

この違いはとても大切です。 日本語ではどちらも「深く」ですが、英語では「どんな深さなのか」を見ます。

  • 場所として深いのか
  • 感情として深いのか
  • 程度として深いのか
  • 抽象的な関わりが深いのか

そこを見ると、deep と deeply の使い分けがかなり整理できます。

deep down は deeply down とは言わない

deep には、よく使われる表現として deep down があります。

Deep down, he is a kind person.
心の奥では、彼はやさしい人です。
I knew deep down that I was wrong.
心の奥では、自分が間違っているとわかっていました。

deep down は、「心の奥では」「本当のところは」という意味です。 これは決まった表現として覚えておくとよいです。

ここで deeply down とは普通言いません。

Deep down, I knew the truth.

このように、deep と deeply は単純に入れ替えられるわけではありません。 deep には deep down のような定型表現もあります。

単純形副詞とは何か

ここで、今回の大事な文法テーマである 単純形副詞 を整理します。

単純形副詞とは、ざっくり言えば、 形容詞と同じ形のまま副詞として使われる語です。

学校英語では、次のように習うことが多いです。

形容詞 + ly = 副詞

たとえば、

careful → carefully
quick → quickly
quiet → quietly

これはもちろん大切です。 多くの副詞はこの形で作られます。

しかし、すべての副詞が -ly で終わるわけではありません。 また、すべての形容詞に -ly をつければ自然な副詞になるわけでもありません。

たとえば、fast は形容詞でも副詞でも同じ形です。

He is a fast runner.
彼は足の速い走者です。
He runs fast.
彼は速く走ります。

fastly とは普通言いません。

He runs fastly.

この文は、標準的な英語としては不自然です。 「副詞だから -ly」と機械的に考えると、ここで間違えます。

英語には、こうした「形容詞と同じ形で副詞にもなる語」があります。 deep もその一つです。

代表的な単純形副詞

単純形副詞としてよく見かけるものには、次のような語があります。

意味
fast run fast 速く走る
hard work hard 一生懸命働く
late arrive late 遅く到着する
early get up early 早く起きる
deep dig deep 深く掘る
high fly high 高く飛ぶ
low bend low 低くかがむ
slow go slow ゆっくり進む

このような語は、形容詞の形のまま副詞として使われることがあります。

ただし、何でもこの形にできるわけではありません。

He spoke careful.

これは普通は不自然です。 言うなら、

He spoke carefully.
彼は注意深く話した。

です。

つまり、単純形副詞は「何でも -ly を外せばよい」という話ではありません。 英語の中で、その形が自然に使われている語がある、ということです。

slow と slowly はどう違うのか

単純形副詞の話でよく出てくるのが、slowslowly です。

学校では、基本的に「ゆっくり」は slowly と習います。

He walks slowly.
彼はゆっくり歩きます。

これはもちろん正しいです。 丁寧で標準的な形です。

しかし、実際の英語では、次のような表現も見かけます。

Go slow.
ゆっくり行きなさい。
Drive slow.
ゆっくり運転しなさい。
Take it slow.
焦らずゆっくりやりなさい。

この slow は、形容詞と同じ形ですが、副詞として働いています。 「ゆっくり進む」「ゆっくり運転する」のように、動詞を説明しています。

ただし、slow と slowly がいつでも完全に同じというわけではありません。

特に、動詞の前に置く場合は slowly のほうが自然です。

The old man slowly walked across the street.
その老人はゆっくり通りを渡った。

ここで、

The old man slow walked across the street.

とは普通言いません。

つまり、slow は副詞として使われることがありますが、 位置や文体によって自然さが変わります。

  • walk slowly:標準的で広く使える
  • go slow / drive slow:口語・標識・短い命令文などで自然
  • slowly + 動詞:動詞の前ではこちらが自然

このあたりは、deep / deeply の理解にもつながります。

high と highly は deep / deeply に似ている

deep / deeply にかなり近い関係として、highhighly があります。

The bird flew high in the sky.
その鳥は空高く飛んだ。
He is highly respected.
彼は非常に尊敬されている。

high は、物理的な高さを表しています。 鳥が高い場所を飛ぶ、ボールが高く上がる、煙が高く上がる。 そういう具体的な高さです。

一方、highly は、程度の高さを表します。 「非常に」「大いに」という意味に近いです。

highly respected
非常に尊敬されている
highly recommended
強くおすすめされる
highly successful
非常に成功した

これは deep / deeply とよく似ています。

空間的・具体的 程度・抽象的
fly high highly respected
dig deep deeply moved

このように見ると、 -ly がつくと、物理的な意味から抽象的な程度の意味へ移ることがある とわかります。

もちろん、これも絶対ルールではありません。 しかし、英語の感覚をつかむうえではかなり役に立ちます。

hard と hardly は意味が大きく変わる

次に、注意が必要なのが hardhardly です。

hard は形容詞として「難しい」「硬い」という意味を持ちます。 そして、副詞としては「一生懸命に」「激しく」という意味で使われます。

This problem is hard.
この問題は難しい。
He works hard.
彼は一生懸命働く。
It was raining hard.
雨が激しく降っていた。

ここで注意したいのは、hardly です。 hardly は「一生懸命に」ではありません。

He hardly works.
彼はほとんど働かない。
I can hardly hear you.
あなたの声がほとんど聞こえません。
She hardly ever watches TV.
彼女はほとんどテレビを見ません。

hardly は「ほとんど〜ない」という否定に近い意味を持ちます。

つまり、

He works hard.
彼は一生懸命働く。
He hardly works.
彼はほとんど働かない。

は、ほぼ正反対の意味になります。

これは中学生・高校生がかなり間違えやすいところです。 「副詞だから hard に -ly をつければよい」と考えると、意味が大きく変わってしまいます。

late と lately も意味が変わる

latelately も注意が必要です。

He came late.
彼は遅れて来た。
I went to bed late last night.
昨夜、私は遅く寝ました。

late は「遅く」という意味の副詞として使えます。

一方で、lately は「遅く」ではありません。 最近という意味です。

I haven’t seen him lately.
最近彼に会っていません。
Have you read any good books lately?
最近何かいい本を読みましたか。

late と lately も、形は似ていますが意味は違います。

  • late:遅く
  • lately:最近

これも、「-ly をつければ同じ意味の副詞になる」とは限らない例です。

単純形副詞と -ly 副詞の整理

ここまで見ると、単純形副詞と -ly 副詞にはいくつかのパターンがあることがわかります。

タイプ ポイント
形が同じまま副詞になる run fast fastly とは普通言わない
-ly 形と共存する go slow / go slowly 文体や位置で自然さが変わる
空間と程度で分かれる dig deep / deeply moved deep は具体的、deeply は抽象的
意味が大きく変わる work hard / hardly work hardly は「ほとんど〜ない」
時間表現で意味が変わる come late / lately lately は「最近」

英語の副詞は、思ったよりも一筋縄ではいきません。 ただ「形容詞に -ly をつける」と覚えるだけでは足りない部分があります。

しかし、逆に言えば、ここがわかると英語の読み方が少し深くなります。 文章の中で使われている語の形を見ることで、意味やニュアンスの違いに気づけるようになります。

deep と deeply を入れ替えるとどうなるか

では、deep と deeply は入れ替えられるのでしょうか。

まず、物理的な深さでは deep が自然です。

The divers went deep into the sea.
ダイバーたちは海の深くまで潜った。

deeply も文脈によって「深く」という意味になることはありますが、 物理的な深さを表す場合は deep のほうが自然なことが多いです。

一方で、感情や程度を表す場合は deeply が自然です。

I was deeply moved by his speech.
私は彼のスピーチに深く感動した。

ここで、

I was deep moved by his speech.

とは言いません。 moved を修飾して「深く感動した」と言うなら、deeply moved です。

同じように、

deeply shocked
深くショックを受けた
deeply concerned
深く心配している
deeply grateful
深く感謝している

のように、感情や心理状態を表す語とは deeply がよく合います。

deeply は「とても」と訳すこともある

deeply は、いつも日本語で「深く」と訳せばよいわけではありません。 文脈によっては「とても」「非常に」と訳したほうが自然なこともあります。

I am deeply sorry.
心から申し訳なく思っています。/誠に申し訳ありません。
We are deeply grateful for your support.
ご支援に深く感謝しています。
She is deeply concerned about the problem.
彼女はその問題を非常に心配している。

こうした deeply は、感情の程度が強いことを表しています。 日本語では「深く」と訳してもよいですが、文によっては「非常に」「心から」「強く」としたほうが自然です。

英語を読むときは、日本語訳を一つに固定しすぎないことが大切です。 deeply は「深く」だけでなく、「非常に」「心から」という方向でも読むと、自然な訳になります。

学習者はどう覚えればよいか

ここまで細かく見てきましたが、最初から全部を完璧に覚える必要はありません。 学習者向けには、まず次のように整理するとよいです。

  • deep は「深い」という形容詞
  • deep は副詞として「深く」も表すことがある
  • deep は空間的・具体的な深さに使いやすい
  • deeply は感情・程度・抽象的な深さに使いやすい
  • 英語には -ly をつけない副詞もある
  • -ly をつけると意味が変わる語もある

特に、次の組み合わせはまとめて覚えておくと便利です。

覚えたい表現 意味
dig deep 深く掘る/深く踏み込む
deeply moved 深く感動している
deeply shocked 深くショックを受けている
deep down 心の奥では
run fast 速く走る
work hard 一生懸命働く
hardly ever ほとんど〜ない
arrive late 遅く到着する
lately 最近

このあたりは、単語帳でバラバラに覚えるより、セットで整理したほうが記憶に残りやすいです。

英作文ではどう使えばよいか

英作文では、まず無理をしないことが大切です。

物理的な深さなら deep を使います。

The hole is deep.
その穴は深い。
They dug deep into the ground.
彼らは地面を深く掘った。

感情や程度なら deeply を使います。

I was deeply moved.
私は深く感動した。
I am deeply interested in history.
私は歴史に深い関心があります。

迷ったときは、次のように考えるとよいです。

  • 場所・空間の深さか → deep
  • 心・感情・程度の深さか → deeply

もちろん、実際の英語には例外や重なりがあります。 しかし、最初の判断基準としてはかなり使えます。

読解では「-ly があるか」だけで判断しない

英文を読むときには、「-ly があるから副詞」「-ly がないから副詞ではない」と単純に判断しないことが大切です。

たとえば、

He runs fast.

この fast は -ly がありませんが、副詞です。

He works hard.

この hard も副詞です。

The roots go deep.

この deep も副詞として働いています。

一方で、

He hardly works.

この hardly は、hard の副詞形というより、「ほとんど〜ない」という別の意味の副詞として理解したほうがよいです。

英語では、形だけでなく、実際に文の中でどのように働いているかを見る必要があります。

まとめ

deepdeeply は、どちらも「深く」と訳されることがあります。 しかし、使い方には違いがあります。

  • deep は基本的に「深い」という形容詞
  • deep は副詞として「深く」と使われることもある
  • deep は空間的・具体的な深さに寄りやすい
  • deeply は感情・程度・抽象的な深さに寄りやすい
  • dig deepdeeply moved を比べると違いが見えやすい
  • 英語には fast, hard, late, deep, high, slow など、形容詞と同じ形で副詞になる語がある
  • hard / hardlylate / lately のように、-ly がつくと意味が変わる語もある

学校英語では、「形容詞 + ly = 副詞」と習います。 これは大切な基本です。 しかし、それだけで英語の副詞をすべて説明できるわけではありません。

英語には、形容詞と同じ形のまま副詞として使われる語があります。 そして、-ly がつくことで意味や使い方が変わる語もあります。

deep と deeply の違いは、その入口としてとてもよいテーマです。

単語を覚えるときは、日本語訳だけでなく、 「どんな場面で使うのか」 「具体的な意味なのか、抽象的な意味なのか」 「-ly がつくと意味が変わるのか」 まで見ていくと、英語の理解はかなり深くなります。

deep は、深い場所へ。 deeply は、深い感情や程度へ。

この感覚を持っておくだけでも、英文の読み方や英作文の自然さは大きく変わります。

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