分数を小数に直すと、途中で終わるものと、同じ数字がずっと繰り返されるものがある。
たとえば、
有限小数と循環小数
\[ \frac{1}{2}=0.5 \] \[ \frac{1}{8}=0.125 \] \[ \frac{1}{3}=0.3333\cdots \] \[ \frac{1}{7}=0.142857142857\cdots \]\(\frac{1}{2}\) や \(\frac{1}{8}\) は、有限小数になる。
一方、\(\frac{1}{3}\) や \(\frac{1}{7}\) は、循環小数になる。
では、何が違うのだろうか。
その鍵は、分母にある。
もっと言えば、
分母を素因数分解したとき、2と5だけでできているか
が重要になる。
今回は、有限小数になる分数とならない分数の違いを、10進法のしくみから考えてみたい。
有限小数とは、分母を10の累乗にできる分数である
まず、有限小数になる分数から考える。
たとえば、 \(\frac{1}{2}\) は
\[ 0.5 \]である。
これは、分母を10にできるからである。
1/2 が有限小数になる理由
\[ \frac{1}{2} = \frac{5}{10} = 0.5 \]同じように、 \(\frac{1}{4}\) は分母を100にできる。
1/4 が有限小数になる理由
\[ \frac{1}{4} = \frac{25}{100} = 0.25 \]\(\frac{1}{8}\) も分母を1000にできる。
1/8 が有限小数になる理由
\[ \frac{1}{8} = \frac{125}{1000} = 0.125 \]このように、有限小数になる分数は、分母を
\[ 10,\quad 100,\quad 1000,\quad 10000,\dots \]のような10の累乗に直すことができる。
だから、小数が途中で終わる。
10の正体は 2×5 である
ここで大事なのが、10の素因数分解である。
10の素因数分解
\[ 10=2\cdot5 \]したがって、10の累乗は、2と5だけでできている。
10の累乗
\[ 10=2\cdot5 \] \[ 100=10^2=2^2\cdot5^2 \] \[ 1000=10^3=2^3\cdot5^3 \]つまり、分母を10の累乗にできるということは、分母の素因数が2と5だけであるということである。
たとえば、\(8\) は
\[ 8=2^3 \]である。
2だけでできているので、5を足してやれば10の累乗にできる。
\[ 8\cdot125=1000 \]だから、 \(\frac{1}{8}\) は有限小数になる。
分母に3が残ると、10の累乗にはできない
一方、 \(\frac{1}{3}\) を考えてみる。
3を何倍しても、10や100や1000にはならない。
なぜなら、10の累乗は2と5だけでできているからである。
そこに3という素因数は出てこない。
3は10の累乗を割り切れない
\[ 10=2\cdot5 \] \[ 100=2^2\cdot5^2 \] \[ 1000=2^3\cdot5^3 \]どれだけ10の累乗を作っても、素因数は2と5だけである。
そのため、分母に3が残っている分数は、分母を10の累乗に直すことができない。
だから、 \(\frac{1}{3}\) は有限小数にならない。
実際、
\[ \frac{1}{3}=0.3333\cdots \]と、循環小数になる。
有限小数になる条件
ここまでをまとめると、有限小数になる条件は次のようになる。
有限小数になる条件
\[ \text{既約分数にしたとき、分母の素因数が }2\text{ と }5\text{ だけ} \]ここで大事なのは、
既約分数にしたとき
という部分である。
たとえば、 \(\frac{3}{6}\) は、分母に3が含まれているように見える。
しかし、
\[ \frac{3}{6}=\frac{1}{2} \]と約分できる。
既約分数にすると分母は2である。
だから、
\[ \frac{3}{6}=0.5 \]と有限小数になる。
分母だけをそのまま見るのではなく、まず約分してから見る必要がある。
いくつか例を見てみる
いくつか例を見てみる。
まず、 \(\frac{3}{20}\) を考える。
分母は、
\[ 20=2^2\cdot5 \]である。
2と5だけなので、有限小数になる。
3/20
\[ \frac{3}{20} = \frac{15}{100} = 0.15 \]次に、 \(\frac{7}{40}\) を考える。
分母は、
\[ 40=2^3\cdot5 \]である。
これも2と5だけなので、有限小数になる。
7/40
\[ \frac{7}{40} = \frac{175}{1000} = 0.175 \]一方、 \(\frac{1}{6}\) はどうだろうか。
分母は、
\[ 6=2\cdot3 \]である。
3が含まれている。
既約分数にしても3は消えない。
そのため、有限小数にはならない。
1/6
\[ \frac{1}{6}=0.1666\cdots \]循環小数になる。
分母に2や5以外があると循環する
既約分数にしたとき、分母に2や5以外の素因数があると、有限小数にはならない。
たとえば、
循環小数になる例
\[ \frac{1}{3}=0.3333\cdots \] \[ \frac{1}{6}=0.1666\cdots \] \[ \frac{1}{7}=0.142857142857\cdots \] \[ \frac{1}{11}=0.090909\cdots \]これらは、分母に3や7や11が残っている。
10の累乗は2と5だけでできているので、こうした分母を10の累乗にすることはできない。
そのため、割り算は途中で終わらず、循環小数になる。
ただし、前の記事で見たように、分数を小数に直したものは、ただ無秩序に続くわけではない。
余りの種類には限りがあるので、必ず同じ余りが再び現れる。
その結果、同じ数字列が繰り返される。
10進法だから2と5が特別になる
ここで、もう一つ大事なことがある。
2と5が特別なのは、10進法で考えているからである。
10進法では、位が上がるごとに10倍される。
だから、有限小数になるかどうかは、分母を10の累乗にできるかどうかで決まる。
そして、
\[ 10=2\cdot5 \]だから、2と5が特別になる。
もし別の進法を使っていれば、有限小数になる分数も変わる。
たとえば、2進法では基準になる数は2である。
そのため、2進法では2の累乗と相性のよい分数が有限表示になりやすい。
このように、有限小数になるかどうかは、使っている進法とも関係している。
有限小数と循環小数は対立しているわけではない
有限小数と循環小数は、別々のもののように見える。
しかし、実はかなり近い関係にある。
有限小数は、割り算の途中で余りが0になる場合である。
循環小数は、余りが0にならず、以前と同じ余りが出てくる場合である。
割り算の余りで見る
\[ \text{余りが }0\text{ になる} \Rightarrow \text{有限小数} \] \[ \text{同じ余りが再び出る} \Rightarrow \text{循環小数} \]つまり、どちらも割り算の余りの動きから理解できる。
そのうえで、10進法では分母の素因数を見ることで、有限小数になるかどうかを判断できる。
この2つの見方をつなげると、小数表示のしくみがかなり見えやすくなる。
まとめ
分数が有限小数になるかどうかは、既約分数にしたときの分母で決まる。
10進法では、
\[ 10=2\cdot5 \]である。
そのため、既約分数にしたとき、分母の素因数が2と5だけなら、分母を10の累乗に直すことができる。
その場合、分数は有限小数になる。
有限小数になる条件
\[ \text{既約分数の分母が }2^a5^b\text{ の形} \]一方、既約分数の分母に3や7や11など、2と5以外の素因数が残る場合は、分母を10の累乗にすることができない。
そのため、有限小数にはならず、循環小数になる。
これは単なる暗記ではない。
10進法では、位が上がるごとに10倍される。
だから、分母を10の累乗にできるかどうかが、小数が途中で終わるかどうかを決めている。
有限小数になるかどうかを見るときは、まず約分する。
そして、分母を素因数分解する。
そこで2と5だけが残っていれば、有限小数になる。
2と5以外が残っていれば、循環小数になる。