分数を小数に直すと、割り切れるものと、同じ数字が繰り返されるものがある。
たとえば、
分数を小数に直す
\[ \frac{1}{2}=0.5 \] \[ \frac{1}{3}=0.3333\cdots \] \[ \frac{1}{7}=0.142857142857\cdots \]\(\frac{1}{2}\) は途中で割り切れる。
一方、\(\frac{1}{3}\) や \(\frac{1}{7}\) は、同じ数字の並びが繰り返される。
このような小数を、循環小数という。
では、なぜ分数を小数に直すと、循環小数になるのだろうか。
今回はこの理由を、割り算の途中で出てくる
余り
から考えてみたい。
小数に直すとは、割り算を続けることである
まず、分数を小数に直すということは、割り算をしているということである。
たとえば、
\[ \frac{1}{4} \]は、
\[ 1 \div 4 \]を計算している。
小数で割り算を続けると、
1/4 の割り算
\[ 10\div4=2 \text{ 余り }2 \] \[ 20\div4=5 \text{ 余り }0 \]となる。
余りが0になったので、そこで割り算は終わる。
だから、
\[ \frac{1}{4}=0.25 \]である。
つまり、有限小数になる場合は、割り算の途中で余りが0になる。
1/3 では余りが同じになる
次に、 \(\frac{1}{3}\) を考える。
これも、小数に直すには割り算を続ける。
1/3 の割り算
\[ 10\div3=3 \text{ 余り }1 \] \[ 10\div3=3 \text{ 余り }1 \] \[ 10\div3=3 \text{ 余り }1 \]余りがずっと \(1\) になる。
余りが同じなら、その次にする計算も同じである。
だから、商として出てくる数字も同じになる。
その結果、
\[ \frac{1}{3}=0.3333\cdots \]となる。
ここで大事なのは、
同じ余りが出ると、そこから先の計算も同じになる
ということである。
1/7 では余りが一周する
前の記事で見たように、 \(\frac{1}{7}\) は
\[ 0.\overline{142857} \]になる。
これも、余りを見るとしくみがわかる。
1/7 の余りの流れ
\[ 10\div7=1 \text{ 余り }3 \] \[ 30\div7=4 \text{ 余り }2 \] \[ 20\div7=2 \text{ 余り }6 \] \[ 60\div7=8 \text{ 余り }4 \] \[ 40\div7=5 \text{ 余り }5 \] \[ 50\div7=7 \text{ 余り }1 \]商として出てくる数字は、
\[ 1,4,2,8,5,7 \]である。
だから、
\[ \frac{1}{7}=0.142857142857\cdots \]となる。
最後に余りがまた \(1\) に戻っている。
余りが戻るということは、そこから先の割り算も最初と同じになるということである。
だから、同じ数字列が繰り返される。
余りの種類には限りがある
ここから、一般的な理由を考える。
たとえば、分母が \(7\) の分数を考える。
7で割ったときの余りは、
\[ 0,1,2,3,4,5,6 \]のどれかである。
つまり、余りの種類は有限である。
割り算を続けていると、毎回何らかの余りが出る。
しかし、出てくる余りの種類には限りがある。
そのため、次のどちらかが必ず起こる。
割り算の行き先
\[ \text{余りが }0\text{ になる} \] \[ \text{または} \] \[ \text{以前と同じ余りが出る} \]余りが0になれば、そこで割り算は終わる。
その場合は、有限小数になる。
一方、以前と同じ余りが出れば、そこから先の計算は繰り返される。
その場合は、循環小数になる。
分数の小数表示は、有限か循環になる
このことから、重要な結論が出る。
分数を小数に直すと、有限小数になるか、循環小数になる。
なぜなら、割り算の途中で出てくる余りには限りがあるからである。
余りが0になれば終わる。
余りが0にならずに割り算が続けば、いつか同じ余りが出る。
同じ余りが出たら、その後の商の数字も同じように繰り返される。
だから、分数は有限小数か循環小数になる。
これは、かなり大事な見方である。
循環小数は、ただ数字が偶然繰り返されているわけではない。
割り算の余りが繰り返されているのである。
循環節の長さは、余りの動きで決まる
循環小数では、どれくらいの長さで数字が繰り返されるかも気になる。
たとえば、
\[ \frac{1}{3}=0.\overline{3} \]は、1桁で循環する。
一方、
\[ \frac{1}{7}=0.\overline{142857} \]は、6桁で循環する。
この違いも、余りの動きで決まる。
\(\frac{1}{3}\) では、余りがすぐに同じ \(1\) に戻る。
だから循環節は1桁である。
\(\frac{1}{7}\) では、
\[ 1\to3\to2\to6\to4\to5\to1 \]と6つの余りを通ってから戻る。
だから循環節は6桁になる。
つまり、循環節の長さは、
余りが何回で元に戻るか
と関係している。
有限小数と循環小数の違い
では、どの分数が有限小数になり、どの分数が循環小数になるのだろうか。
これは、分母の素因数分解と関係している。
10進法では、基準になる数は \(10\) である。
そして、
\[ 10=2\cdot5 \]である。
そのため、分母が \(2\) と \(5\) だけでできている分数は、有限小数になる。
たとえば、
有限小数になる例
\[ \frac{1}{2}=0.5 \] \[ \frac{1}{4}=0.25 \] \[ \frac{1}{5}=0.2 \] \[ \frac{1}{8}=0.125 \]\(2,4,5,8\) は、素因数として \(2\) や \(5\) だけを含んでいる。
一方、分母に \(3\), \(7\), \(11\) など、\(2\) と \(5\) 以外の素因数が残ると、10進法では割り切れず、循環小数になる。
この話は、次の記事でさらに詳しく扱う。
循環小数は「失敗した小数」ではない
循環小数を見ると、割り切れなかった結果として、どこか中途半端に感じるかもしれない。
しかし、循環小数は失敗した小数ではない。
むしろ、割り算の余りが作る周期的な構造である。
たとえば、 \(\frac{1}{7}\) の \(142857\) には、前の記事で見たように、数字列が回転する性質がある。
\(\frac{1}{3}\) の \(0.3333\cdots\) も、余りが毎回同じになるからこそ生まれている。
循環小数は、単に割り切れなかった残りではない。
余りが有限個しかないからこそ生まれる、きちんとした数の形である。
まとめ
分数を小数に直すとき、私たちは割り算を続けている。
その割り算の途中では、余りが出る。
もし余りが0になれば、そこで割り算は終わる。
その場合、分数は有限小数になる。
一方、余りが0にならずに割り算が続く場合でも、余りの種類には限りがある。
だから、いつか以前と同じ余りが出る。
同じ余りが出れば、そこから先の計算は同じように繰り返される。
その結果、同じ数字列が繰り返される。
これが、循環小数である。
有限小数と循環小数
\[ \text{余りが }0\text{ になる} \Rightarrow \text{有限小数} \] \[ \text{同じ余りが再び出る} \Rightarrow \text{循環小数} \]循環小数は、ただ数字が偶然繰り返されているわけではない。
割り算の余りが繰り返されているから、数字列も繰り返される。
そう考えると、分数を小数に直す計算も、ただの作業ではなくなる。
その中には、余り、周期、循環という数学の考え方が隠れている。