数学を勉強していると、「関数」と「方程式」という言葉が何度も出てくる。
中学校でも高校でも出てくるし、どちらもグラフと関係している。
だから、なんとなく似たものとして扱ってしまいやすい。
たとえば、
関数としてよく見る式
\[ y=x^2 \]は関数として出てくる。
一方で、
方程式としてよく見る式
\[ x^2+y^2=1 \]は円の方程式として出てくる。
どちらも \(x\) と \(y\) の式であり、どちらもグラフを描くことができる。
では、関数と方程式は何が違うのだろうか。
今回はこの違いを、
関数は「対応」
方程式は「条件」
という見方から整理してみたい。
関数とは、入力に対して出力が1つに決まるもの
まず、関数から考える。
関数とは、簡単に言えば、
入力を1つ決めると、出力がただ1つに決まる対応
である。
たとえば、
\[ y=x^2 \]を考える。
\(x\) に \(2\) を入れれば、
\[ y=2^2=4 \]となる。
\(x\) に \(-3\) を入れれば、
\[ y=(-3)^2=9 \]となる。
このように、\(x\) を1つ決めると、\(y\) が1つに決まる。
だから、 \(y=x^2\) は、\(y\) を \(x\) の関数として見ることができる。
ここで大事なのは、「\(x\) を1つ決めたときに \(y\) が1つに決まる」という点である。
\(y\) の値が同じになる \(x\) が複数あっても、それだけで関数でなくなるわけではない。
y = x² は関数だが、単射ではない
ここで、少し注意が必要である。
「\(x\) を1つ決めると \(y\) が1つに決まる」という話をしていると、単射と混同しやすい。
しかし、関数であることと、単射であることは違う。
たとえば、 \(y=x^2\) は関数である。
しかし、単射ではない。
なぜなら、
同じ出力になる例
\[ 2^2=4 \] \[ (-2)^2=4 \]となるからである。
\(x=2\) と \(x=-2\) は別の入力である。
しかし、どちらも同じ \(y=4\) に対応している。
つまり、
違う入力から、同じ出力が出ている
ということである。
単射とは、簡単に言えば、
違う入力から同じ出力が出てこない関数
である。
だから、 \(y=x^2\) は関数ではあるが、単射ではない。
ここはかなり大事である。
関数と単射の違い
\[ \text{関数かどうか:入力1つに対して出力が1つに決まるか} \] \[ \text{単射かどうか:違う入力が同じ出力にならないか} \]この2つは似ているようで、見ている方向が違う。
単射は、逆関数を考えるときに大事になる
単射が大事になるのは、逆関数を考えるときである。
逆関数とは、ざっくり言えば、
出力から入力へ戻す関数
である。
たとえば、
\[ y=2x+1 \]なら、\(y\) の値から \(x\) の値を1つに戻すことができる。
しかし、
\[ y=x^2 \]では、\(y=4\) から \(x\) を戻そうとすると、
\[ x=2,\quad x=-2 \]の2つが出てきてしまう。
これでは、出力から入力がただ1つに決まらない。
だから、そのままでは逆関数を作ることができない。
もちろん、定義域を \(x \geq 0\) に制限すれば、 \(y=x^2\) も逆関数を持つようにできる。
このように、単射は「関数かどうか」の条件ではない。
むしろ、逆向きに戻せるかどうかを考えるときに重要な性質である。
方程式は、x と y が満たす条件である
では、方程式とは何か。
方程式は、関数のように必ずしも一方向の対応を表しているわけではない。
むしろ、
\(x\) と \(y\) が満たす条件
と考えるとわかりやすい。
たとえば、
\[ x^2+y^2=1 \]は、円を表す方程式である。
これは、
\(x^2+y^2=1\) を満たす点 \((x,y)\) を全部集める
という意味で考える。
すると、原点を中心とする半径1の円が出てくる。
ここでは、\(x\) から \(y\) へ一方向に値を対応させているというより、
この条件を満たす点はどこか
を見ている。
これが方程式の見方である。
円は、そのままでは y を x の関数とは言えない
円の方程式をもう少し見てみる。
円の方程式
\[ x^2+y^2=1 \]ここで、\(x=0\) とする。
すると、
\[ 0^2+y^2=1 \]なので、
\[ y^2=1 \]となる。
したがって、
\[ y=1,\ -1 \]の2つが出てくる。
つまり、\(x=0\) と決めても、\(y\) が1つに決まらない。
だから、 \(x^2+y^2=1\) は、そのままでは \(y\) を \(x\) の関数としては見られない。
もちろん、上半分だけを取り出して、
\[ y=\sqrt{1-x^2} \]とすれば、これは関数として見ることができる。
また、下半分だけを取り出して、
\[ y=-\sqrt{1-x^2} \]としても、関数として見ることができる。
しかし、円全体をそのまま1つの \(y=f(x)\) として表すことはできない。
これはかなり大事な違いである。
横向きの放物線も同じである
横向きの放物線も、同じように考えることができる。
たとえば、
横向きの放物線
\[ y^2=4px \]という式がある。
これは、右向きまたは左向きの放物線を表す方程式として出てくる。
この式を \(y\) について見ると、
\[ y=\pm 2\sqrt{px} \]のように、基本的には2つの値が出てくる。
つまり、\(x\) を1つ決めても、\(y\) が1つに決まるとは限らない。
したがって、 \(y^2=4px\) は、そのままでは \(y\) を \(x\) の関数としては見にくい。
一方で、\(x\) について解けば、
\[ x=\frac{y^2}{4p} \]である。
これは、\(y\) を1つ決めると \(x\) が1つに決まる。
つまり、
\(x\) を \(y\) の関数として見る
ことはできる。
同じ図形でも、どちらの変数を入力として見るかによって、関数として見えるかどうかが変わるのである。
縦線を引いて考える
グラフで考えると、この違いはかなり見やすい。
\(y\) を \(x\) の関数として見られるかどうかは、
縦線を引いたとき、グラフと高々1点で交わるか
で判断できる。
なぜなら、縦線を引くということは、
\(x\) の値を1つに固定する
ということだからである。
その縦線がグラフと2点以上で交わるなら、同じ \(x\) に対して \(y\) が複数あることになる。
その場合、そのグラフ全体は \(y\) を \(x\) の関数としては見られない。
円や横向きの放物線がその例である。
一方、 \(y=x^2\) のような普通の放物線は、どの \(x\) に対しても \(y\) が1つに決まる。
だから、\(y\) を \(x\) の関数として見ることができる。
関数は対応、方程式は条件
ここまでをまとめると、かなり整理しやすい。
関数と方程式の違い
\[ \text{関数:入力を1つ決めると、出力がただ1つに決まる対応} \] \[ \text{方程式:変数どうしが満たす条件} \]方程式は、その条件を満たす点の集まりとしてグラフを表すことができる。
ただし、そのグラフがいつも \(y\) を \(x\) の関数になるとは限らない。
円、楕円、横向きの放物線、双曲線などは、方程式として自然に扱われることが多い。
もちろん、部分的に切り出したり、変数の見方を変えたりすれば、関数として扱える場合もある。
しかし、最初から「\(x\) を入れたら \(y\) が1つ返ってくる」と見るのか、「この条件を満たす点を集める」と見るのかで、数学の見え方は変わる。
まとめ
関数と方程式は、どちらも \(x\) と \(y\) の式として現れることがある。
しかし、見方は違う。
関数は、入力から出力への対応である。
\(x\) を1つ決めたとき、\(y\) がただ1つに決まるなら、\(y\) を \(x\) の関数として見ることができる。
一方、方程式は、変数どうしが満たす条件である。
その条件を満たす点の集まりが、円や楕円、放物線、双曲線などのグラフになる。
また、関数であることと単射であることは違う。
\(y=x^2\) は関数だが、単射ではない。
単射は、逆関数を考えるときに重要になる性質である。
つまり、
関数かどうかは、入力に対して出力が1つに決まるか。
単射かどうかは、違う入力が同じ出力にならないか。
方程式は、変数どうしが満たす条件。
こう整理しておくと、関数と方程式の違いがかなり見えやすくなる。