ポケモンの技に「しっぽをふる」があります。
序盤のポケモンがよく覚える、かなりおなじみの技ですね。
相手にダメージを与える技ではなく、相手の防御を下げる技です。
日本語名だけ見ると、かなりかわいい。
しっぽをふる
犬や猫がしっぽを振っているような、愛嬌のある動きが想像されます。
ところが、英語名を見ると少し印象が変わります。
Tail Whip
直訳すれば、「しっぽのムチ」あるいは「しっぽでムチのように打つ」という感じです。
もちろん、この技は相手をしっぽで殴る技ではありません。
でも、日本語の「しっぽをふる」と英語の Tail Whip を比べると、同じ技なのに、見えているポイントが少し違う気がします。
ここが面白いところなんですよね。
日本語の「しっぽをふる」は、かなりかわいい
まず、日本語の「しっぽをふる」から考えてみます。
この名前は、かなりそのままです。
しっぽを、ふる。
動作をそのまま言っているだけです。
ただ、この「ふる」という言い方には、あまり攻撃的な感じがありません。
しっぽを振る犬。 しっぽを振る猫。 相手に愛嬌を見せるような動き。
そういうイメージが出ます。
実際、ポケモンの技としても、相手に直接ダメージを与えるわけではありません。
しっぽをかわいく振って、相手の警戒心をゆるめ、防御を下げる。
そう考えると、日本語名の「しっぽをふる」は、技の雰囲気にかなり合っています。
かわいい動作で、相手の守りをゆるめる。
そういう技名です。
Tail Whip の tail は「しっぽ」
次に英語名を見てみます。
Tail Whip
まず、tail は「しっぽ」です。
これはそのままですね。
ponytail の tail も同じです。
pony は「ポニー」、tail は「しっぽ」なので、ponytail はもともと「ポニーのしっぽ」のような髪型ということになります。
ここまではかなりわかりやすい。
問題は、後ろの whip です。
whip は「ムチ」だけではない
whip と聞くと、まず「ムチ」を思い浮かべる人が多いと思います。
whip = ムチ
これは間違いではありません。
ただ、英語の whip には、名詞としての「ムチ」だけでなく、動詞としての感覚もあります。
つまり、
- ムチで打つ
- ムチのようにしならせる
- 素早く強く動かす
という感じです。
だから Tail Whip は、ただ「しっぽのムチ」という名詞のかたまりだけではなく、
しっぽをムチのように素早く振る
という動作感も持っています。
日本語の「しっぽをふる」が、かわいく見せる感じだとすれば、 Tail Whip は、しっぽをピシッと動かす感じが少し強い。
この違いはけっこう面白いです。
でも、Tail Whip は攻撃技ではない
ここで少しややこしいのは、Tail Whip が攻撃技ではないということです。
英語名だけを見ると、しっぽでビシッと打つ技のようにも見えます。
でも実際には、相手の防御を下げる変化技です。
つまり、ダメージを与える技ではありません。
ここで、少しズレが出ます。
しっぽをふる
→ かわいく振って、相手の警戒心をゆるめる感じ
Tail Whip
→ しっぽをムチのように振る、動きの強い感じ
どちらも同じ技を指しています。
ただ、日本語名は「かわいさ」や「油断させる感じ」に寄っていて、英語名は「しっぽの動き」に寄っているように見えます。
技の効果としては防御を下げるので、日本語名の方が少しわかりやすい気もします。
一方で、英語名の Tail Whip は、技としての動作が短く力強く伝わります。
ここに、翻訳というより、名前のつけ方の違いが出ていると思います。
「ふる」と whip では、動きの見え方が違う
日本語の「ふる」は、かなり広い言葉です。
手をふる。 旗をふる。 しっぽをふる。
どれも、何かを左右に動かす感じがあります。
でも、必ずしも強い動きとは限りません。
やさしく振ることもできますし、かわいく振ることもできます。
一方で、whip はもう少し鋭い。
しなる。 素早く動く。 ピシッと打つ。
そういう動作感があります。
だから、
しっぽをふる
と言われると、やわらかい動きが見える。
でも、
Tail Whip
と言われると、もう少し速く、しなった動きが見える。
同じ「しっぽ」でも、かなり印象が違います。
ポケモンの英語名は、直訳ではなく印象で見ると面白い
ポケモンの技名は、単純な直訳になっていないことがよくあります。
「しっぽをふる」も、英語では Tail Wag ではなく Tail Whip です。
wag は「しっぽを振る」という意味でよく使われる単語です。
たとえば、犬がしっぽを振るなら、wag its tail と言えます。
そう考えると、Tail Wag の方が日本語には近そうです。
でも、実際の英語名は Tail Whip です。
ここには、おそらく技名としての短さや強さ、動きのわかりやすさがあるのだと思います。
Tail Wag だと、かなり普通の動作に聞こえます。
一方で、Tail Whip だと、技っぽい。
「しっぽを使った技」という感じが出ます。
つまり、英語名は日本語名をそのまま置き換えたというより、英語の技名として自然に聞こえる形にしているのだと思います。
まとめ
「しっぽをふる」は、英語では Tail Whip と呼ばれます。
tail は「しっぽ」です。
whip は「ムチ」という意味を持ちますが、それだけではありません。
「ムチのように打つ」「素早く力強く動かす」という動作感もあります。
そのため、Tail Whip は、
しっぽをムチのように素早く振る技
という感じに聞こえます。
一方で、日本語の「しっぽをふる」は、もう少しかわいい。
しっぽを振って、相手の警戒心をゆるめる。
防御を下げる技としては、日本語名の方が効果の雰囲気に近いようにも感じます。
ただ、英語名の Tail Whip には、技名としての動きの強さがあります。
かわいく油断させる「しっぽをふる」と、しっぽをピシッと動かす Tail Whip。
同じ技でも、日本語と英語で見えているポイントが少し違う。
こういうところを見ると、ポケモンの技名は英語学習の教材としてかなり面白いんですよね。